☆魔女アルバのオラクル日記☆ その12
魔のことわりをよく宣るもの、とは何のこと、誰のことなのか?
特別な才能を持つものなのか、サイキックな力を持つものの事なのか。
ひとまずの完了。最終話です。
この世界は幻想だということも、自分自身が創造の主であることも、ひろく行き渡ったと感じる。
何を創っていくのかという責任がある。
闇を闇としてみている現状がある。
闇を生んだ者としてやることがある。
そのあたりはこれから。
それぞれの立ち位置が定まっていく昨今を、私は枡目のある板の上の駒のように見ている。
まるで碁盤のような一面が上にも下にも無数に連なり、それぞれの階層で立ち位置が定まり、才能と個性は開いていく。
「まるで花」
そう。花のよう。
人は明滅しながら咲いていく花のよう。
私の立ち位置は、“一滴の放たれた雫”であり、“世界を観察する眼”だった。
創造の主のわたしは、私をそのように創り、幻想のものがたりへ送り出した。
私はアルバ。
夜明けの魔女。
闇へ夜明けを送るもの。
だれからも光を見出だされてこなかったために、未だ闇のままになっているものたちを、抱き留める腕。
抱き留めた後、次へ持っていかないものを終わらせて、絶ち切り、新しい夜明けを生むもの。
創造の主たるわたしよ。
私はあとどのくらい、この仕事をしなくてはなりませんか。
私は疲れました。
もう、疲れたのです。
光を見出だすことに消耗しました。
「闇は闇のままで。あなたの人間としての経験により、あなたの闇への見方が変わる。すると、闇は仕事を全うし、そして光に変わる」
ああ。あたたかい声がする。私には光に見えるけれど、誰かにとっては闇に見える気配がある。
「だから、わたしはあなたを人間として送り出した。
夜明けよ、動けないわたしの眼となり腕となってくれて、ありがとう」
………………………………
アルバはソファの上で目を覚ました。窓の外を見て薄暗いのを確認し、壁にかかる時計を見て、今は夕方だとわかった。
よかった。明け方ではなかった、とアルバはほっとした。
いつの間にか2時間ほど、うたた寝をしていたようだ。よほど疲れていたのだなと、薄暗い部屋のソファでアルバは微笑む。
「夢を、見ていたようね」
随分昔の事を夢に見ていた。
懐かしい気持ち、そして少々の不安感。
あの頃の自分が、夢から覚めた後もまだ残る。
今のアルバが過去の自身へできるのことは、やはり抱き留めることだけなのだ。
昔の自分では闇にしか見えなかったことが“未来”の自分の元へやってくることが時々あるから、そんな時は胸に抱く。
今の自分の愛と光は“過去”の自分には受け止めきれず、
闇にしか見えないだろうけど。
「さあ。あの頃の私へお帰り。不安よ。愛しい闇よ。あなたは私の生んだものだわ」
アルバは過去の自分の恐怖と不安を抱き留める。
「創造の主たるわたしよ。私を人として送り出して下さったわたし。」
応えはない。
アルバは続ける。
「ありがとう」
………………………………
これからも、闇は闇として受け止め、そこへ光を見出だす。
そして終わりと夜明けをもたらす、私は魔女。
人間に生まれたからには人間としての仕事がある。
人間として、魔の理を能く宣る者として、これからも生きよう。
私は、私の立ち位置を忘れない。
薄闇は濃い闇へ変わり、あたりは真っ暗になった。
もう、時計の針も見えないほどに。
「さ、夕飯の支度、急がなきゃ!」
アルバはソファから勢いよく立ち上がり、キッチンへ向かった。
魔の理を能く宣る者
魔女アルバのオラクル日記
ひとまず終る
完
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