第3話 日本人転生者・秋山カオル!!
俺は秋山カオルを酒場の席に座らせ、何が飲みたい?、かと聞いたらオレンジジュースと答えたためカウンターに足を運び、オレンジジュースと俺用のビールを頼んで席に持って行き、カオルにオレンジジュースを渡す。
「ほらよ、お代は俺が払うから」
「あっありがとうございます」
かおるはジュースを受け取るとゴクゴクと二口大きく飲み、深呼吸をした。
「はあ、あのキリヤさんありがとうございます、私さっき死んだばかりでここに飛ばされてここで何をしたら良いのか解らなくなってつい」
「気にすんな、知り合いでお前みたいにワンワン泣いてたやつはいたからさ」
「その人も日本人なんですか?」
「そうだよ、君と同じ日本人だよ」
ショウヘイもこの世界に来た時はかなり泣いてたな、俺やパーティーのみんなが尋ねて事情を聞いたらそのままメンバーに受け入れたんだよな。
「この世界の日本人てどれぐらいいるんですか?」
「確かスマホでそういう情報は見れるはずだよ、やってごらんよ」
かおるは俺の指示通りにスマホを開いて親指で器用に操作して調べた。
「あ、あったええとハタラケヤの日本人人口は、およそ3万人!!ハタラケヤの人口の約1/3にもなるって日本人多すぎ!!!!」
そう、ここハタラケヤはトリステン公国の中で、日本人が3番目に多いとされている街だ。
日本人がいなければ成り立たないとまで言われている程、日本人への依存が大きいのだ。
「日本人なんて何百年も前からいるからね、今じゃそんなに珍しくもない種族だよ」
「種族?それじゃあアメリカ人も中国人も、イタリア人とかも人種じゃなく種族として見られてるんですか!?」
出たよアメリカ人とかそういうの!日本人が元いた世界では無数とも言われる種族が存在するが、確認はされていないため現状では伝説状の種族として捉えられている。
「いや日本人以外は今のところ確認されてないから、たぶん日本人以外は来てないんじゃないか」
「そうですか、それで私はどうしたらいいのでしょうか?」
「まあ最初は戸籍作りだから、あそこの受付のお姉さんにそのスマホを見せて戸籍を作ってもらいな」
「スマホを見せるだけで良いんですか!?」
「良いよ、アンタ日本人だからそれで戸籍はもらえるんだから」
「それじゃあ受付に行ってきますね」とカオルはそう言って席から立つと、せっせと早歩きで受付に行こうとしたが俺は1つだけある事に気づいて彼女の足を止める。
「ちょっと待って!お金はあるのか?戸籍作りには8千ポルドが必要だがらそれぐらいは持ってるか?」
「お金?ちょっと待って下さい、少し調べますから!」
カオルはそう言うとスマホを操作して持ち金を調べた、さっきのやり取りで、どうやらスマホはこの世界に来た時に困らないためのアイテムだと認識したらしい。
スマホの画面を凝視したカオルは満面の笑みで俺に答える。
「ありました!!60万円ちがう、ポルドもあります!!!!」
「ちょっ!声が大きいぞ静かに言えよ!」
「すみません!それじゃあ受付に行ってきまーーーす」
俺に注意されたカオルは謝ると小声で伝えて受付の方に駆け寄った。
今座ってる酒場の席から受付までの距離はそう遠くはなく、彼女の行動はここからでもしっかりと見えるので俺は席からカオルが大丈夫か見守っている。
戸籍を作れたのか、カオルは俺の方に手を振ってこっちに戻って来た。
「キリヤさん、戸籍が出来ました!」
「よし、それじゃあステータスを開いて連絡先でも交換するか」
「え!ステータス?」
「ほら、戸籍を作るときに左手の甲に何か埋められてただろ?そこを右手で押したら開くから」
カオルは俺の説明通りに左手の甲に右手をおそるおそる押した、すると目の前にステータス画面が出て来てカオルは驚いてしまった。
「これがステータスだ、自分の種族や国籍に名前、スペックがいろいろ表示されてるだろ、ステータスは身分証明書の1つだから一般公開をオフにしろよ」
カオルは「はっはい!」と返事するとスマホの時とは違い、不器用ながらも操作して一般公開をオフにしてお互いの連絡先をステータスに入れるたのを確認すると。
「よし、じゃあ飯でも食いに行くか、お薦めの飯屋があるんだ奢るから付いてきなよ」
「え!奢るって良いんですか私に?」
「良いって良いって、さっき奢ってやるって言っただろ?付いて来いよ腹、減ってんだろ?」
「じゃ、じゃあ御言葉に甘えて!!」
まだ昼前にしては早すぎるが、俺が誘うとカオルは笑顔で答え、いっしょに飯屋に行くことになった。