くちびるの水滴
キスが怖い
逃げ場のない、
沼の底に
枷がつけられる
朝が良い
一人で立てる
まだ眠るひとは
置いていける
追い立てられるように
息を吸い、
吐いては吸われ、
また吸って
きみも同じ
あのひとと同じ
変わらない、はずの夜空が
少し明るい
ような
眠るきみの
耳も 首も くちびるも
指も 脚も 何もかもを
満たしたくて、仕方なくて
声もかけずに触れてやる
きみも同じ
あの人と同じ
たぶん、だけど
間違いだと思いたい
思って欲しくない
それでも違うと言うから
きっとそうなんだと
無理にそうした
空が綺麗だと思った
久しぶりに深呼吸をした気がした
夜風につられて
星が輝いていた
きみがいたときには気づかなかった
滲んでいるけれど