僕と俺と再会
ーー暗い。というか闇。そんな中で俺はいた。
別に怖いとか寂しいとかの感情はこの中では存在しない。なら俺という意思も無くなる筈なのに何故かこうして存在している。
もう俺はあいつの魂の代わりになっているはずなのにこれは矛盾してないか?
そんなことをぐるぐると考えていると、突然光が目の前に現れた。
それは今までの闇を全て吹き飛ばす程の光量で俺はそれになすがまま包まれて行ったーー
ーー気がつけば場所は……何処だ?
目に見えるのは晴れ晴れとした青空、背中に感じる地面の感触、頬?を撫でる優しい風そしてなにより動かしずらい体。
なんだこの奇妙な感覚?人間の時とは全く違う。そうまるで小さい何かになったような……?
「なんだこれ?」
「成功です! やりましたよ功太君!」
「よ、良かった……これで……」
聞き覚えのある声が二つ、少し離れた場所から聞こえた。
その声に向けて首を向け……れない!なんだ可動域狭くないか!?
仕方ないのでじたばたともがいてようやく声がする方に首を向けれた。
そこにいたのは嬉しそうに両手を合わせる虎姫?さんと、苦しそうに左腕を押さえる「僕」……って左腕ないじゃん!なにやってんの、あいつ!!
「おい、何やってんだっあて!」
勢い良く二人のいる方に駆け出そうとしたが上手く足が動かず躓いてしまった。
なんだよ、この体!二足歩行じゃなくて四足歩行かよ!それに二人が大きく見えるから多分体は子供いやそれ以下か。
更に言えば視界が少し広くて耳が頭の上にある感じがする。あと尻尾?なのか尻にも謎の感覚……よし、これで導き出される答えは。
「子犬?……いや違う。俺、子猫になってるぅうぅぅぅ!!」
掌の可愛らしい肉球と体から生えてる体毛で気づいた。しかし、変な色の体毛だな?黄色に黒の縞模様なんて?って冷静に自分解析してる場合か!
「おい、大丈夫か!」
慣れない四足歩行で近づく俺に苦しそうな「僕」いや、“功太”は残った右手で優しく俺の頭を撫でた。
「良かった……成功して……」
「成功ってお前……左腕ないじゃんかよ……」
「いいんだ……元々無くなる筈だったし……それに……やっぱり君がいないと……僕はダメだと思うから……」
そう言い終わると限界だったのか、その場に倒れこもうとした功太を横にいた虎姫さんが上手く抱き締める。
「本当に成功して良かった……さて、矢岸さんには今どうしてここに存在するか説明するので着いてきて下さい」
「いや、着いてきて下さいって言われても……」
頭が混乱する俺をもう、と言ってひょいと抱く虎姫さん。えっ、俺ってそんなに小さくなってんの?
「取り敢えず功太君を寝かせてから説明しますのでいきますよ」
そのまま立派な境内の中へとドナドナされる俺と功太。
いや、本当に何がどうしてどうなってんの?
「あっ、ちなみにですが。矢岸さんは今、子猫じゃなくて子虎ですから」
「あ、なるほど。だから黄色に黒の縞……ってどうでもいいわ!」