表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

絶望へ、





白い世界にいた

いや、正確には白い世界に蓙が敷かれ丸いちゃぶ台にみかんと煎餅、壁には宮島のタペストリーと白虎隊と書かれた旗が飾られている

やはり酒臭い…なんと言うか、近所の酒呑みのおじさんの家にお邪魔したような感じだ


ティナ「…先に言っておくけど今回、私達は何もしてないからね」

柾「先に言っておくけど助けて下さい」ドゲザ~

速い…なんたる土下座力…!言い訳すら挟まない潔さ、柾の土下座レベルがうなぎ登りに上がっていく

ティナ「やだ!だって自業自得じゃん(笑)」

柾「そこをなんとか…!」土下座レベルMAX

ティナ「自分の力でなんとかしにゃさいよ」

柾「自分の力ってあの改変の力だって使えなかったぜ」キリッ

ティナ「そんなのしらにゃ~い、私は使えるハズって言ったんだよ、絶対使えるとは断言してにゃいし」

柾「な、殺生な…このままあっちの世界に行っても死刑になるんですぜ?次回予告で死の宣告を受けてるのに大人しく引き下がれるか!」ドゲザ~

ティナ「次回予告はそのまま時間が流れたら確実に訪れる未来だからね~逆に言うとちょっとの事で簡単に変える事も出来る…ハズ」

実際第1話の次回予告は実現する事はなかった、おそらくティナが事実をねじ曲げギャグ寄りに修正した事が原因だと考えられるが、やはり断言する事を避け、煎餅をバリボリと音を立て食べ始める

ティナ「じゃあ柾のステータスでも見てみる?改変の力の事もわかるかも…」

柾「ステータス?あのゲームとか最近チート系異世界転生漫画でやたら数値化しているあれか!私の戦闘力は53万です、的なアレか!」

ティナ「うん、そんな感じ」

えいと呟き柾のステータスを表示する


名前 松麻 柾

Lv 17

属性 ツッコミ

装備 パンツ(泥付き)特殊効果 変態ストーカーに間違われやすくなる

スキル 土下座LvMAX ツッコミLv1 改変の力Lv0

備考 ツッコミ役のくせにツッコミが下手なこの小説の主人公、しかもボケてばかりいるのが余計始末に負えない、力などは並以下だが生命力だけは(ゴキブリ)の追随を許さない、基本的に第一印象変態ストーカーに間違われる事が多いが本人がそのように導いている節もあり、未だに謎な部分が多いがおそらくドMで性的興奮を覚えている生粋の変態なのだろう、常にパンツ一丁なのを特に気にする様子がないのは変態紳士としての当然の嗜みであり礼儀であるとの本人の持論と一子相伝の松麻流健康術の秘奥技会得の為の修行法なのだが本当は服アレルギー、最愛の人物ハッサソとは前世で再会を誓い合ったソウルメイトで幼なじみ、お互いに体を許し合う程の仲だが恥ずかしさから認めてはいない、大好物はチャーシュー、縛られて焼かれて茹でられて、その姿には畏敬の念を覚えずにはいられないと柾氏は語る





ティナ「こんな感じかにゃ」

柾「こんな感じじゃねーよ!!?基本的に俺が変態って事しか書いてないけど?!勝手に人のプロフィール捏造するんじゃねー!」

柾「俺の容姿に触れないと思ったら、俺パンツ一丁だったの?!そりゃ、捕まるだろ!」

柾「それに…改変の力Lv0じゃないすか…」

ティナ「当たり前だろ!誰だって最初は初心者なんだよ!」煎餅バリボリ


柾「…今更だけどティナさんって体どうなってるんすか?」

ティナ「どうってなにが?」

柾「いや、俺には煎餅が空中に浮いて消えていくように見えるんだけど…」

ティナ「………」

しばらく沈黙が続く


ティナ「これは呪いなんだよ」

柾「…呪い?」

ティナ「そう…改変の力を使い過ぎるとこうなっちゃうんだよ」

柾「まじで…?」

柾の表情が一瞬にして強ばる

ティナ「うん、嘘」バリボリ

また煎餅を食べ始める

柾「………」

ティナ「………」バリボリ

ティナ「本当は美人過ぎるし、異世界風の服着てるから描写するのが面倒なんだよ」

美人かどうかは謎だが面倒くさいのは本当だろう




柾「…騙された…もう何も信じられない、だいたいなんだよあの世界は!完全にクロノトリガー丸パクリじゃねーか!やってられるか、俺は現実世界に帰らさせて頂きます………で?どうやったら帰れるの?」

ティナ「さぁ?」みかんパクパク

柾「またまた~本当は知ってるんでしょ~ティナさーん、また私に土下座させる気ですか~?」

ティナ「いや、本当に知らないんだなこれが」「だいたいあの世界を作ったのは柾だよ?」

柾「俺が?確かに第1話でそんな事言ってた気がするけど、俺は何もしてないぜ?」

ティナ「私が柾にラブコメでもバトルでもファンタジーでもいいって言ったのは覚えてる?」

柾「…うん」

完全に忘れてたけど適当に相槌をうつ

ティナ「その時、柾が咄嗟にイメージした世界なんじゃないの?たぶんファンタジー色が強いのはイメージしやすかったんだろうね、特にやり込んだゲームならそれが反映され易いって事でしょ、逆にラブコメ要素が少ないのは普段あまりラブコメ観てなかったんじゃない?」

柾「なるほど一理ある…いやそれなら今からまた新しい世界を作ればいいんじゃね?次こそはハーレム学園を…」

柾の言葉を遮りティナが言う

ティナ「止めたほうがいいよ、それこそ向こうの世界が柾がどうなるか…下手すりゃ私みたいに体が無くなるかも…」


柾「またまた~そうやって、同じ手に2度も引っ掛かりませんよ~」

ティナ「…明晰夢って見た事ある?夢の中で夢に気がつくやつ」

柾「まぁ、何回かあるけど、それが何か?」

ティナ「夢の中で夢に気がつくとどうする?例えば怖い夢なら楽しい夢にしようとするでしょ?」

柾が頷く

ティナ「でも急に夢の内容を変えるのは難しい、せいぜい怖い化け物を出なくするとか、代わりにかわいい猫を登場させるとか、元々いた登場人物にちょっかいを出すとか…夢の世界全てを作り変えるのは改変の力をもってしても莫大なエネルギーが必要で難しい、その世界のルールに則って流れを変えていくのが改変の力の基本的な使い方って話しだよ」

柾「うーんわかったようなわからないような…」

ティナ「仕方ない、少しヒントをやるか、悩みなんて悩むだけ無駄って事だ」「わかったらさっさと向こうに行ってこい」


柾「それはヒントじゃないッス」シュワシュワシュワ




ティナ(……私は柾の事をどうしたいんだろうな…)












衛兵に連れられ柾の向かった先は裁判所の待合室だった

六畳程の部屋に数人が椅子に座っている、ある者は頭を抱えて絶望に暮れ、またある者は横柄な態度で椅子に腰掛ける、おそらく柾と同じように捕まった犯罪者なのだろう

柾「…なんかリアルだな」

柾も先の人に倣い革張りのパイプ椅子に腰掛ける

どうも、理想と現実は違うらしい、王国の裁判所というより、役所の待合室のようだった

しばらくして自分の名前が呼ばれる、裁判は事務的に粛々と進む

裁判長「うーん?(パンツ一丁だし、見た目も変態くさいな~)レッツゴー牢屋!一週間後死刑!」

柾「えぇー!」


牢屋に居た

昼過ぎだというのに牢屋の中は薄暗く、照明は小さな格子窓が壁の高い位置に一つあるだけだ、当然昼間から日の光が無い牢屋は肌寒い

床や壁は石で出来ていて所々小さな穴があるのか風が抜け、天井からはポタポタと水が落ちてくる

牢屋の入り口は鉄柵で錆びが浮き、あまり手入れはされていないようだ


柾「さすがにパンツ一丁は寒いな」

柾はとりあえず立ち上がり牢屋の中を調べるがベッドと呼ぶにはあまりに簡素なボロ布と暫く使われていなかったであろうトイレがあるだけで特にこれと言って役に立ちそうな物は見当たらなかった、自分のいる牢屋から鉄柵の向こう側を覗いてみるが通路を挟んで反対側に同じように牢屋があるだけで別の囚人の気配などもない

柾はとりあえずボロ布を体に巻くがそれでも完全な防寒対策としては心許ない

柾「死刑まで一週間か…ゲームなら脱獄するんだよな」

柾「確か脱獄する方法は2つあるんだよ」

柾「1つは看守を挑発して牢屋の中に入って来た所を倒す方法」

柾「もう1つは死刑執行まで大人しく待っていたら仲間が助けてくれる方法…だが次回予告で死刑が執行されてる事から考えるに、待っていても誰も助けに来てくれないだろうな、それに仲間と呼べる人、居ないしなぁ…寂しい」

ティナはもちろん静観して助けてくれる事は無いだろう、ハッサソは来てくれる可能性は高そうだが正直来て欲しくない、これ以上のトラウマは命に関わる

柾「…とりあえず看守を挑発する方向で何とかしてみよう」

柾は説明臭い独り言をぶつぶつと言い終わると、鉄柵をガタガタと揺らし始めた

柾「オォ~イィ!糞看守!ここ出せや?!聞こえてるんやろ!クソがッ!」ガタガタガタガタ

何故か牢屋の中にいると口調が悪くなる

柾「ヒャッハー!水と食糧を持ってこ~い!あと、服とエアコン、ネットの繋がる環境とドリンクバー、読み放題の漫画を要求する!クソがッ!」ガタガタガタガタ


柾「オォ~イィ!オォ~イィ?看守さーん?居るんでしょ?クソが?クソが?」ガタガタガタ


柾「アレ?居ないの…かな?脱獄しちゃうよ?いいの?いいの?」ガタガタ?


柾「お~い!看守さんじゃなくてもいいよ!誰でもいいよ!とりあえず誰か返事してみよう!ね!」がたがた


柾「………」しーん









………タ…ス……ケ……テ……


柾「?何か聞こえた気が…おーい?誰かいるんですか?」しーん









柾「うオォ~イィ!!?逆にこえぇーよぉ~!誰か居て欲しいけど、居て欲しくないよ~」

柾「どうする?何で誰もいないの!?」




…こ…こ…に………い…る…よ…




柾「もういいよ!全部幻聴だろ!幻聴だよ!幻聴って事にしておこう!幻聴って事にして下さいよろしくお願いいたします!ここは小説の中で、きっと死んでも夢オチだろ!?もういい!とりあえず寝る!」


















柾「寒みぃーよ!!寝れる気がしないし、何かイベント起これよ!」ワーワー


柾「仕方ない、あまり期待出来ないけど…」

柾「突然覚醒せよ!改変の力!」


改変!!


装備 パンツ(泥付き)特殊効果 変態ストーカーに間違われやすくなる


(とりあえず服を着たい!出でよ!暖かい服!)


装備 パンツ(泥付き)特殊効果 変態ストーカーに間違われやすくなる


柾「やっぱりだめだ~疲れて体力消耗するだけだな…」はぁはぁ


そうこうしているうちに1日は過ぎていった…あと6日



柾「…もうだめだ…飯も出てこないし…寒いし…腹減った…」

柾(どうせ死刑になる人間には飯も勿体ないって事かよ…)

喉を潤す為にポタポタと垂れてくる雫の下で口を開けて待つ


柾「…なんかカビくさいな…」

柾「器があれば、溜めておけるのに…」


柾「はぁ~ユアちゃん怒ってるかな~それとも俺と会えなくなって悲しんでるかもな~ここから脱獄したら自宅を突き止めて、誠心誠意謝罪しないとな~きっと怒った顔もかわいいんだろ~な~」ドゥフフ


2日目終了、あと5日



柾「早くも限界だ…人間何も食べなくても、一週間位生きていけるって思ってたけど、ただ息をしてるだけで、生きてない…死んでないだけってやつだ…」


3日目終了、あと4日


柾(手足が冷たくなって感覚なく痺れてる、本当に死ぬのか?異世界冒険はこれからだろう?ユアちゃんと運命の再会は?死んだらどうなる?元いた現実に戻るのか?本当に戻れるのか?いやだ…死にたくない)


4日目終了、あと3日


柾(………どこがギャグ小説だよ、全然笑えないよ…どうせティナ観てるんだろ?もういいよ、俺が悪かったよ…変態ストーカーでも何でもいい、ハッサソでもいい助けてくれよ………誰か…助けてくれよ…)

ふと柾の脳裏にティナの言葉が過る



ティナ「自分の力でなんとかしにゃさいよ」


ティナ「当たり前だろ!誰だって最初は初心者なんだよ!」煎餅バリボリ



柾「煎餅…うまそうだな…」ぼそ

横になったまま自然と涙がこぼれる


柾「何が改変の力だよ…ふざけるなよ…!今すぐに飯を食わせやがれ!!特別な力なんだろ!!!」

柾の必死な想いに応えるように力が反応する


改変の力LV0→1


柾はとりあえず立ち上がり牢屋の中を調べるがベッドと呼ぶにはあまりに簡素なボロ布と暫く使われていなかったであろうトイレがあるだけで特にこれと言って役に立ちそうな物は見当たらなかった


柾はとりあえず立ち上がり牢屋の中を調べるがベッドと呼ぶにはあまりに簡素なボロ布と暫く使われていなかったであろうトイレ、その横には蓙が敷かれ丸いちゃぶ台にみかんと煎餅、壁には宮島のタペストリーと白虎隊と書かれた旗が飾られていた



柾「…!!!出来た?…煎餅がある…みかんもある…!」

柾は蓙の上に座り煎餅をかじる

柾「………」バリ…ボリ…

自然と涙がこぼれていた

柾「うまい…」

一心不乱に食べ始める、おそらくこんなに旨く感じる煎餅とみかんは今後の人生で口にする事は無いだろう…



柾「ごちそうさまでした」

自然と言葉が出た

ふと、ちゃぶ台の机上に小さな紙が一枚ある事に気付く、煎餅とみかんに気をとられていて気がつかなかったそれはティナからの手紙で「私のぐーたらセット盗むんじゃねー!」と書いてあり、その横に小さく「おめでとう」と記されていた。


柾「…やっぱり改変、成功したんだ」

柾「よっしゃ~!これなら死刑にならなくて済むぞ!装備を整えて、こんな所脱獄してやる!」

柾は先程の成功した感覚を忘れないうちに改変の力を行使した


改変!!


装備 パンツ(泥付き)特殊効果 変態ストーカーに間違われやすくなる


(やっぱり服が着たい!今度こそ出でよ!暖かい服!最強装備!)


装備 パンツ(泥付き)特殊効果 変態ストーカーに間違われやすくなる


改変の力LV1は回数制限により1日1回しか使用する事がデキマセンよって世界のルールその3に則って反撃を行いマス


機械的な音声が流れる


柾「はんげ…?…!!!」急激な吐き気に襲われ、トイレに近寄る

柾「ぁオ”ェ”ー」全身に力が入り肋骨が軋み、ミシミシと音を立て嘔吐した





柾は涙と吐瀉物にまみれた顔をボロ布で拭くと、ふらふらと蓙の上に倒れ込んだ、仰向けになり目は虚ろに闇を纏った天井を見ることなく眺めていた


5日目終了あと2日


どのくらい眠っていただろうか?いや、気絶と言った方が適切であろう、牢屋の闇は柾の時間感覚を奪っていた、小さな窓からは月明りが射し込んでいる、感覚的には寝過ぎた位寝たような気がする…まだ体の力が入らない、全身の疲労は筋肉痛を通りすぎ力を入れる事も億劫な程になっていた

実際は4時間程しか眠っていなかったのだが、体の疲労とは裏腹に多少の睡眠でも朧気だった柾の意識は本来の感覚を取り戻してきていた、牢屋に入ってからは緊張と寒さで寝てもすぐに目が覚めてしまい、まともな睡眠はほとんど取れてはいなかった柾である、気絶に近いとはいえ休息にはなったようだ


柾(回数制限なんて聞いてないぞ…それに反撃とかいうペナルティ…LV0の時も体力が奪われて大変だったのに、LVが上がって確実に辛くなってる)

ティナの「呪い」という言葉が脳裏を過る、あの時は冗談ぽく言っていたけど、もしかしたらあの言葉は本当だったんじゃないかと思えてくる


柾(異世界なめてたな、きっと頼りになる仲間が出来て、強い力が手に入って、楽しい冒険をしていく物だと思っていた…思い込んでいた、思い上がっていた、世界を思い通りに出来る力を手に入れて勝手に有頂天になっていた、自分は特別な存在なんだと、でも実際は見えないルールに縛られてまともに使う事すら出来ないじゃねーか!…元いた現実に戻りたい…死ねば現実に戻れるのか?それとも、脱出する方法があるのだろうか?解らない…)

そんな事を思っていても今の現状を打破出来る可能性があるのは改変の力だけである、呪いの事、反撃の事等あまり力を使いたい状況ではないが、背に腹はかえられない、とりあえず柾は前向きに考え直す事にした


柾(…腹減った…かなぁ?もうよくわかんねーや…とりあえず解った事は改変の力は1日1回…今のところは?そういえば、成功した時は特に疲れなかったな…成功した時にはペナルティは無いのか?まだ解らない事だらけだ…でも回数制限があるからむやみやたらに実験も出来ない…よな、改変の力を使っての脱獄をするならチャンスはあと2回…死刑執行日を入れても3回…絶対に無駄使いは出来ない!何か良い方法を考えないとな…)


夜中に目が冴えてしまい、あれこれと脱獄する方法を一晩中考える事になってしまったが、昨日迄の自分はやることも無く死刑を待つ身であったのだ、全く希望が無い訳ではなくなった柾にとってそれはむしろ喜ばしい変化であった、何より今は少しでも時間が惜しい、得体の知れない世界に得体の知れない力で対抗しようと言うのだ、あらゆる可能性を検討して次の一手を考えなければ簡単に自分は死んでしまうであろう事をこの牢屋の中で嫌と言うほど痛感していた


柾(ゲームと似た世界だが、違う点が幾つかあった、完全にゲームと同じと信じてしまうのは危険だろう…脱獄と言ったら先ず思い付くのは壁に穴を開ける方法だと思うが、壁の向こう側がどうなっているかわからない…ましてや、ゲームなら崖の上なのか相当高い場所だったからな…リスクが大きいか…)

柾(次は装備を整えて真っ向勝負だな、敵がいるのかわからないが看守もいないみたいだから、意外とすんなり脱獄出来る可能性もあるよな、強敵がいたら逃げる事も視野に入れて、どの程度強い武器が改変の力で手に入るか…マシンガンとか飛び道具があれば心強いんだけど)

柾(他には…屈強な仲間を召還…いや辞めておこう…高確率でハッサソが出てきそうだ…)

柾(あとは捕まる前の事実をねじ曲げちまうか?そうなったら今の自分はどうなるんだ?タイムパラドックスだな…最悪なのがそういう未来もあったんだね的な事になって、今の自分は何も変わらず力を1回無駄にする事だな)


その後もあれやこれや考えてはみたが、どうにも不確定要素が多すぎる、とりあえず1回目は装備と食べ物等必要な物を思い付く限り改変の力で手に入れてみようという結論に至った


柾は集中して、成功した時の事を思い出す

柾(あの時はティナの煎餅をイメージしていたら偶然にも成功した、おそらくティナが言っていた「その時、柾が咄嗟にイメージした世界なんじゃないの?たぶんファンタジー色が強いのはイメージしやすかったんだろうね、特にやり込んだゲームならそれが反映され易いって事でしょ、逆にラブコメ要素が少ないのは普段あまりラブコメ観てなかったんじゃない?」と言うようにイメージする事が大事なのだろう)


柾(最強の武器のイメージ…あまり重くても使いにくいから、多少ファンタジーぽくても、はやぶさの剣みたいに装備するだけで速く動けて、何でも切れる剣!遠距離はマシンガン!鎧は動きにくそうだ、防弾チョッキみたいなベスト!服装は暗闇だから紛れられるように黒っぽく、一応背中には軽くて大きな盾をイメージ)

…我ながら、発想が貧弱だと思う…ドラえもんの道具のようにイメージ出来れば、いくらでも脱出する事は可能だろうが改変の力のどこまで出来て、何が出来ないか、どういった事をすれば反撃を受けるのか、イメージはどこまで反映されるのか?など知りたい事が多い、それにドラえもんの道具ってどういう理屈で原理で出来ているのか解らない、どこでもドアを出した所でただの扉が出てきてしまったら、狭い牢屋では、はっきり言って邪魔だ

その点、はやぶさの剣なら手に入れば儲けもの、失敗して普通の剣が出ても使い道はある

言わば、今回の改変は必要な物資集めと情報収集、成功すれば儲けもの、失敗したら次に生かす、直接脱獄出来なくても仕方ない、明日の為の改変である

他には食糧や水、大きさの制限がないか調べる為にソファー、エアコン、まだ読んでいない今週号のジャンプ、ガラスのコップ、テレビ、空気清浄機、プレステとゲーム数本等、考えられるだけイメージしておく…決して今欲しい物ではない…脱獄の為に必要な物なのだ…そうだ、オトナの雑誌も追加しておこう…決していやらしい気持ちがあるわけではない、何度も繰り返すようだが脱獄するのに必要なのだ!


柾「よし、前置きが長くなったな、準備は整った、俺の妄想力を舐めるなよ!」


改変!!


名前 松麻 柾

Lv 17

属性 ツッコミ

装備 パンツ(泥付き)特殊効果 変態ストーカーに間違われやすくなる

スキル 土下座LvMAX ツッコミLv1 改変の力Lv0

備考 ツッコミ役のくせにツッコミが下手なこの小説の主人公、しかもボケてばかりいるのが余計始末に負えない、力などは並以下だが生命力だけは(ゴキブリ)の追随を許さない、基本的に第一印象変態ストーカーに間違われる事が多いが本人がそのように導いている節もあり、未だに謎な部分が多いがおそらくドMで性的興奮を覚えている生粋の変態なのだろう、常にパンツ一丁なのも特に気にする様子がないのは変態紳士としての当然の嗜みであり礼儀であるとの本人の持論と一子相伝の松麻流健康術の秘奥技会得の為の修行法なのだが本当は服アレルギー、最愛の人物ハッサソとは前世で再会を誓い合ったソウルメイトで幼なじみ、お互いに体を許し合う程の仲だが恥ずかしさから認めてはいない、大好物はチャーシュー、縛られて焼かれて茹でられて、その姿には畏敬の念を覚えずにはいられないと柾氏は語る


柾(イメージしろ…最強の武器を装備した自分を…牢屋の中が快適な空間になるイメージ…全てを書き換えるんだ、この世界を感じ、ルールに身を委ねる感覚…感じる…世界の鼓動が…息づかいが…全は一、一は全…そうか…自らも世界の一部だったんだ…この世の真理を知り、理解して、分解して、再構築する…!!それが…錬金術…!!)


名前 松麻 柾

Lv 17

属性 ツッコミ

装備 小手 面 胴 垂 竹刀 パンツ(泥付き)特殊効果 変態ストーカーに間違われやすくなる 日本一の旗 巾着 (だんご入り) ゲームボーイ桃太郎伝説外伝 カルピス原液

スキル 土下座LvMAX ツッコミLv1 改変の力Lv1

備考 汎用人型決戦兵器 柾初号機のA型装備である、パンツ一丁に剣道の防具を装備し背中には日本一と書かれた旗を差して腰に着けた巾着にはだんごを入れてある…その姿を見た者は老若男女、森羅万象全ての存在に対し近寄り難い印象を与える絶対恐怖領域を展開する事が出来る他、右手に装備したゲームボーイは敵に対し「えっ?昔のゲームボーイって電池4本も使うの?」とリアクションを誘う事にも成功している、ソウルメイトで偕老同穴の仲であるハッサソは実は腰に着けただんごで懐柔されたらしく、あまりに非人道的行いだと各国首脳は柾氏に対し反対声明を発表すると共にカルピスの割り方に対するデモ活動鎮静化に向けて各国と協力関係締結に向けて動き出すと発表しており、依然として緊張状態は続くとみられています…



柾「…………」




次回予告


世界各国から非難の声が噴出する柾に遂に法の鉄槌が下る!あらゆる希望や絶望が錯綜するなか、柾は次世代に想いを託す!その言葉は世界を混沌へ誘う甘言か、はたまた闇に射し込む一筋の光か、次回最終回…命のカウントダウン

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ