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いずれ不敗の魔法遣い ~アカシックレコード・オーバーライト~  作者: Sin Guilty
新章 十三使徒編

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第14話 11人の魔法遣い

 ジャンの「勇者認定」は、ジアス教通常戦力では最強である聖堂騎士団(テンプル・ナイツ)総長(グランド・マスター)以下九名の管区長(マスター)全てを撃破したことで正式になされた。


 これで俺の提唱する「能力者ギルド(仮称)」は、ジアス教の承認のみならず、全面的な協力を得て具体化してゆく事が決定したと言える。


 ジアス教にとって「勇者」は絶対であり、その勇者が自らの意思で参加しようとする組織を否定することなど出来るはずもない。

 逆に言えばそういう()()が用意されたことで、体面を保ったまま協力するという図式が構築できたというべきかもしれないな。


 あくまで俺に従うわけではなく、俺に従う「勇者」の意向に従うという訳だ。


 とはいえ、ジアス教は力に恭順することをよしとする。


 この世界(ラ・ヴァルカナン)の常識では、力ある者に従う事は当たり前なのだ。

 弱者の権利を尊重できるほど、まだ世界(ラ・ヴァルカナン)は人類にやさしくはない。


 本日最後のイベントとなっている「模擬戦」で「勇者と三聖女」をも凌ぐ力を実証すれば、それが一番いいのかもしれない。


 ちょっと気合い入れようかな。


 ジャンの「勇者認定戦」は玄人好みのしぶい展開だったがやや派手さには欠けた。

 人々が「勇者」「救世主」といった単語から期待するのは、やはり魔法をはじめとした「常人には遥か及ばぬ領域」の戦闘だろう。


 まあこの後の「序列戦」は魔法遣い同士の対戦なので、否応なしに派手なものにはなるのであろうが。


「さてと次は僕の出番だ。「絶対不敗の一番弟子」がどれほどのものか、みんなの記憶に焼き付けてもらわないとね」


 セトの言い様は、まだ()()()()が消えてしまう可能性を拭いきれていない証拠だ。

 たとえそうなったとしても、ティスの身体を覚醒させることを最優先と決めている。

 

 まあとりあえず今はセトのやりたいようにやればいい。

 シリスさんをぶっとばして、納得いったら俺がどうしようと思っているかを聞いてもらおう。


 少なくとも今セトがやろうとしている、「どうなるかわからないけれど現状を変える」という乱暴なものよりは、いくらかマシな提案のはずだ。

 セトの身体に負担はかけるが、今のセトを失うことなくティスの身体を覚醒させるには、俺にはこれしか思いつかなかった。

 

「体は大丈夫なのか? 昨日まであの激痛に耐えていたんだろ?」


「耐えていたというか、のたうち回っていただけというか……師匠には見せられない醜態だったけど、一晩経ったから今はもう大丈夫」


 まあ馴染んでしまえばそうだと言うのは、俺も我が身を持って知っている。

 竜人化(ドラゴライズ)可能になった身体が飛躍的に強化されることも。


「いやあれはしょうがないよ。俺も大概だったしクリスティーナ(おくさん)には見せられない」


 俺の言葉にセトが笑う。


 こいつが居なくなるのはやっぱり嫌だな。

 だから()()()もらおう。


「ところで序列戦ってどういう仕組みなんだ? 全員でバトルロワイヤルか?」


「ううん、違うよ。下位者から上位者への挑戦形式。上位者から下位者へは意味が無いからなし。下位者であれば序列が離れていても挑戦は可能。だけど序列戦は基本的に一人一戦だけだから、挑戦権は上位序列のものが優先される。――ちょうどいいや、説明がてら「十三使徒」のみんな紹介するからこっち来て」


 手を引いて十三使徒たちの控え室へ「転移(テレポート)」を一緒に行う。

 魔力温存……とか気にするレベルじゃないか、もう。


 毎度おなじみ、コマ落としのように切り替わった視界には、ジアス教が世界(ラ・ヴァルカナン)に誇る「十三使徒」が第一席を除いて全員揃っていた。


 流石の「十三使徒」たちも驚いた顔をしている。


 ここも本来であれば幾重にも結界が張られていて、()()()これる場所じゃないはずだ。

 俺が一緒に居るとその手の結界は全て無意味化するのだが。


 うちの弟子が傍若無人ですいません。


「みんなが興味津々の師匠連れてきたよ。だけど魔法談義は一通り終わった後ね、キリが無いから。まずはみんなを師匠に紹介するよ」


「相変わらずだねえ、セトの坊やは。忙しないったらないよ」


 おおう、見るからに「魔女」と言うおばあさんが、まさしく「魔女」と言う口調でため息をつく。

 さすが「十三使徒」とでも言うべきか、誰もが一瞬の驚きの表情を浮かべただけだ。

 一人表情が判らない人もいるけれど。


 白髪白髭のいかにもなお爺ちゃんもいるし、仮面被った怪しい人とか……っち、後は全員美形かやはり。

 この世界(ラ・ヴァルカナン)の魔法遣いと来た日には、美形じゃないとなれないルールでもあるんじゃ――


 ――いた。


 一人だけどこからどう見ても普通のおっちゃんがいた。

 腹も軽く出ている。

 後で絶対にお話させてもらおう。


「リリスリアの婆ちゃん、今日の序列戦ってどうなってるの? 僕が第二席(シリス)に挑むのは確定だけど、誰か僕に挑戦する人はいる?」


 セトは昨日までずっと黒竜の所にいたから、その辺を知らないんだな。

 まあそれは俺も同じなんだが、一対一の「序列戦」が複数あるという事なのかな?  

 

「シリスとセトの坊やの勝負を邪魔する無粋者はいやしないよ。教皇猊下から勅命が出ているから一応組み合わせは出来ちゃいるけれど、あたしらは「魔力」の無駄遣いはしたかないんだがねえ」


 誰もセトがシリスさんに挑む事を邪魔しないらしい。


 なるほど、セトがシリスさんに「序列戦」を挑むのは序列から言っても確定だが、セトに序列が下の「十三使徒」の誰かが挑戦する可能性もあったわけか。

 そうなった場合、二戦しなければならない場合も出てくるんだな。


 「魔力」の回復が簡単に出来ない状況で、それは相当なハンデになるだろう。


 とはいえそれを認めなければ、「序列戦」で下位者が負けてもなんのペナルティは何も無い状況では、下位者からの「挑戦」を避けるために、負けてもいいから上位者へ挑戦する輩が出ないとも限らないと言う訳か。


「ああ、それもう問題ないよ。ジャン兄ちゃんが「勇者認定」されたってことは、「十三使徒」は僕も含めて全員師匠の組織に所属する事になったから」


 まあ確かに俺が居るからな。

 この場にいる「十三使徒」全員の魔力量を零から補充するのにそんなに時間も掛からないだろう。

 俺にとってはそう大したことでも無いしな。

 

 高位魔獣から取れた高純度魔石を使って、「十三使徒」(クラス)なら一つでフルチャージできるアイテムを複数用意しても便利かもな。

 魔石は魔力充填さえすれば再利用できる事だし。

 

「だからどうしたってんだい? ティスのお嬢ちゃんが目を覚まさない以上、魔力補充なんて……」


 まあ知らなければ当然の反応だ。

 ティスみたいな繊細なことは出来ないけど、力技で同じ結果には出来る。

 まあ101周の間に信じられない量が溜まっている「魔石」を使っても同じことは出来るけど、まだほとんどの魔物(モンスター)は解体して無いしな。


「師匠、お願いしていい?」


 へいへい。


 百聞は一見にしかず。

 やって見せるのが一番いいだろう。


「だけどセト、みなさん魔力フルチャージ状態だぞ?」


 俺の言葉に「十三使徒」たちとはいえ、さすがにざわつきを見せる。

 ティスというジアス教の秘奥のみが可能なはずの「魔力充填」を当たり前のように出来るといったことだけではなく、自分たちの魔力状態を俺が掌握している事にも驚いたはずだ。


 仲間内以外には、当然俺の能力はほとんど秘されているし仕方がない。

 銀の義眼(左目)と「ステータス・マスター」なんて説明のしようも無いしな。

 クリスティーナ(おくさん)をはじめ仲間内ではもう普通になっているからあまり意識していないけど、今後「能力者ギルド(仮称)」に参加してくれる人たちにはきちんと説明する必要があるか。


「リリスリア婆ちゃん異能持ちだからちょうどいいよ。多分師匠びっくりすると思う。後リリスリア婆ちゃん、師匠の「魔力補充」結構気持ちいいから、うっかり師匠に惚れないでね?」


「ヒッヒッヒッ、師匠取られたくないかえ?」


 何を言ってるんだこの二人は。

 しかしヒッヒッヒッって笑うの初めて聞いた。

 本物の魔女だ。


「クリスティナ様より自分が魅力的だと思ってるんなら、婆ちゃんの事尊敬するけど?」


「言うようになったねえ。だけどあんたはそれでも勝負する気みたいじゃないかい。ヒッヒッヒッ、尊敬してあげるよ」


 魔法での勝負でならともかく、口での勝負はまだまだ年の功には勝てないらしい。

 完全に言い負かされてセトの負けだこれ。

 真っ赤になって俯いて黙ってしまっている。


 なにやら不穏な会話でもあったし、助け舟を出そう。

 出すべきだ。


「リリスリアさん、でよろしいですか? とりあえずセトの言うとおり実際にお見せしようと思うのですが、よろしいですか?」


「おやまあ、「絶対不敗」なんぞと大仰な「通名(エリアス)」持ちの割には謙虚じゃないか。それじゃあお願いしようかね」


 こういう婆さんには絶対に逆らったらダメだ。

 絶対に口では勝てないという確信がある。

 クリスティーナ(おくさん)やサラ、セシルさんが歳経たような存在だぞ。

 

 勝 て る 訳 が 無 い。


 苦笑いを浮かべて「魔力充填」を開始する。

 ほんとだ、銀の義眼(左目)には魔力がフルチャージされている状態なのに、充填すればするだけ上限が上がって行く。


 リリスリアさんの異能はそういう類か。


「こいつは驚いたね。物凄い速度だ」


「リリスリア、それは本当なのか?」


 ずっと黙っていたほかのメンバー達の中で、白髪白髭のおじいちゃんが重みのある声で聞く。

 年寄りコンビはやはり仲がいいのかな。


「嘘ついてどうするんさね? まあ見ておいで、この勢いならすぐに始まる……」


 ――始まる?


 そう言っているリリスリア婆さんの身体に変化が現れる。

 何これ、俺は「魔力充填」しているだけで、「若返りの魔法」かけているわけじゃないぞ。

 そもそもそんな魔法ないし。


「セト、これって……」


「流石の師匠もびっくりしたでしょ? リリスリア婆ちゃんは保有魔力上限が可変で、増えれば増えるほど全盛時の体に近づくんだよ。あと魔力展開している最中ね。戦闘中だけお姉さんになれるという、詐欺魔法遣いなんだ」


「なんて言い草だい」


 そう言っている間にも、俺の「魔力充填」によってリリスリアさんはどんどん若返って行く。

 正直ちょっとキモイ。


 しわくちゃのおばあちゃんから、色っぽいおばちゃんへ。

 そこからナイスバディのお色気お姉さんへ。


 ああ、時の流れとはかくも残酷なものか。


 クリスティーナ(おくさん)のそういう姿を、見たいような見たくないような。

 永遠を共にするのなら、一度くらいは二人して老いていく経験もしておきたくはあるか。


 そのまま「魔力充填」を続けると、サラやティスと変わらない幼女にまで若返って、「魔力」があふれ出すようになった。

 ここが上限なんだろう。


「驚いたね。実際にこの年だった頃から、初めてこの状態にまで戻ったよ。これが私の全盛期ってことさね。これならシリスにも勝てそうだけど……ヴァサリスの爺様、久しぶりに「序列」がひっくり返るねえ」


「ぬう……」


 ヴァサリスと呼ばれた御爺ちゃんが苦々しげに呻くのは、こうなったリリスリアさんの実力を良く知っているのだろう。

 それこそ本当にその年だった頃から知り合いなのであろうし。


「って訳で魔力の心配は師匠の元にいる限り問題ない。それがどれだけ「有事」に有効かはみんななら判るよね? 師匠の組織参加みんなよろしく。まずは今日の「序列戦」がんばろうか。直後に魔物(モンスター)の大量発生があっても問題ないのは今見たとおり。師匠に僕ら「十三使徒」の実力見てもらおう」


 なんかセトが活き活きしているから任せるけど、「十三使徒」たちもかなりやる気になったようだ。

 魔法遣いは血の気の多い人ばかりなのかな。


 改めて紹介してもらった十一名は以下の通り。

 

 第二席 シリスさん。理数系男前。おのれ。

 第四席 ヴァサリス老。賢者と言うのが似合いそう。

 第五席 リリスリア婆さん。今はどう見ても幼女だが。

 第六席 ジズさん。仮面怖いよ。

 第七席 ファウラさん。ダークエルフみたい。年齢聞いたらだめなんだって。

 第八席 ヴァッシュダインさん。絵に描いたような貴公子だ。おのれ。

 第九席 レオンハルトさん。ハゲの筋肉。本当に魔法遣いなのか?

 第十席 リオレイアスさん。ダンディーな髭男爵。爵位は適当いいました。

 第十一席 シズクさん。金髪蒼眼のいかにも神官と言う感じの美女。つるペタだが。

 第十二席 ニコラスさん。オールバックで片眼鏡(モノクル)のナイスミドル。おのれ。

 第十三席 オーズさん。おっさん! 仲良くしようなおっさん!


 能力管制担当(左手のグローブ)に頼らずに、何とか覚えられたはず。


 今回の「序列戦」は以下の通り。


 第二席(シリスさん) vs 第三席セト

 第四席(ヴァサリス老) vs 第五席(ロリババア)

 第六席(仮面) vs 第七席ダークエルフ

 第八席(貴公子) vs 第十三席(おっさん)


 おっさんがんばれ。

 超がんばれ。


 他のメンバーは今回「序列戦」を挑まないようだ。

 得意な「魔法」の関係とかもあるのだろう。

 回復魔法のスペシャリストとかもいるんだろうしな。


 派手な戦闘になりそうだし、高レベル魔法遣い同士の戦いを客観的に見る機会はめったに無いから楽しませてもらおう。


 一番楽しみなのは、セトが勝つところだけれど。







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十三使徒 簡易紹介


第一席

 ティス(10歳)

 セトの妹。幼女枠。独身(婚約者あり)

 「魔力充填」の異能をもつ。

 「(インフィニトゥム)」の「(マ・ナ)」をもつ、ジアス教の秘奥存在。

 四年前の事件以来「眠り姫スリーピング・ビューティー」と化している。

 セトに良く似てとても美人。

 セトとは違って癖の無い、サラサラの金髪をしている。

 瞳の色は閉じている為不明。

 今のセト曰く、目を覚ましたらツカサに迫る予定のようだ。


第二席

 シリス(25歳)

 「魔眼」の遣い手。魔力の量や流れを読めるので、対魔法遣い戦闘のスペシャリスト。

 戦術家でもあり、「十三使徒」の指揮官としての能力も十全に発揮している。

 ただし四年前の誤謬はトラウマレベル。

 あらゆる系統の魔法を万遍なく使いこなす万能タイプ。

 中でも好んで使うのは「重力系」

 明るい灰色(グレー)の髪と瞳をもった、眼鏡系美男子。踏台枠。独身(婚約者あり)

 序列戦が終わるまでだがな。

 ロリコン死すべし慈悲はない。


第三席

 セト(12歳)

 ツカサの一番弟子。ショタ枠。独身。

 癖の強い少しくすんだ金髪と、意志の強そうな大きな碧の瞳を持つ美少年。

 ツカサの101回の繰り返しに付き合ったため、「魔法遣い」として規格外の強さを手に入れている。

 ツカサ考案の「魔法近接戦闘(M.C.Q.B)」を使いこなす。

 ツカサと共に完成度を高めた共同開発者とも言える。

 四年前の暴走で、セトとティスの精神が混ざった状態が今のセトである。

 基本的には男の身体に引っ張られているが、状況次第で女の子の部分も顔を出す。

 眠り続ける(ティス)の身体を起こすため、ツカサから得た「妨害(インタラプト)」で暴走する(ティス)の異能を止めようとしている。

 その結果混ざっている自分がどうなるかは不明。

 ツカサはその解決に何やら画策しているようで、セトもその指示に従って動いている。

 どうやら黒竜の血を受けて、竜人化(ドラゴライズ)可能になった模様。


第四席

ヴァサリス(92歳)

 白髪白髭の老魔法遣い。瞳の色はブラウン。ジジイ枠。独身。

 ティス、シリス、セトに押し出されるまでは「第一席」であった実力派。

 歳経た今なお魔法の探究にあくなき情熱を持っている賢者めいた側面もある。

 その割には好戦的で稚気に溢れている。

 八大竜王と気が合うかもしれない。

 結婚はしておらず、当然子も孫も居ないのでシリス、セト、ティスの三人を子と孫のようにかわいがっているうちに「魔法遣い」として上に行かれた。

 口では悪態をついてはいるが、内心その事実を喜んでいる。

 故にこそティスの意識を取り戻すのは悲願であり、その為に必要な協力は惜しまない。

 「雷帝」の「通り名(エリアス)」を持つ「雷魔法」のスペシャリスト。


第五席

 リリスリア(89歳)

 時間が経った血のような朱殷(しゅあん)の髪と瞳を持つ、まさに「魔女」そのもののような見た目を持った老魔法遣い。ババア枠。独身。

 黒に近い深い蒼の三角帽子とローブもまさに「魔女」

 「ヒッヒッヒッ」と笑う。

 ティス、シリス、セトに対する想いはヴァサリスと同じ。

 薬草や薬膳に長けており、その辺は「錬金術師」達と話が合うかもしれない。

 ツカサやジャン、嫁さんズに「夜のお薬」を処方する事もあるかもしれない。

 セトとティスの母親の師匠であり、「焔魔(エンマ)」の「通り名(エリアス)」を持つ「火魔法」のスペシャリスト。

 魔力展開量に従って肉体が全盛時に戻るという異能を持っており、戦闘中は若返る。

 魔力さえあれば幼女化すらする。

 戦闘が終わると元に戻るが。

 普通は20台半ばのダイナマイトバディのお色気お姉さんになることが多い。

 その際は髪と瞳の色は真紅に変わる。

 戦闘状態の隠れファンがジアス教の魔法遣い達には多い。

 しかし現実は、時の流れは残酷である。「ヒッヒッヒッ」


第六席

 ジズ(年齢不詳)

 髪の色は桃色。

 九眼の仮面と暗灰色のローブに包まれているので他の身体的特徴は一切わからない。

 その上誰も声を聞いた事が無い。

 意思表示は空中に魔力で文字を書くことで行う変わり者。謎枠。独身。

 「デバフ魔法」のスペシャリスト。

 どうやら小動物が好きなようで、この世界には存在しない猫であるタマをじっと見ていることがある。

 「ステータス・マスター」で表示された情報は特に秘する。


第七席

 ファウラ(年齢不詳)

 銀髪に赤い瞳、艶やかな褐色の肌をもつ長命種の亜人(デミ・ヒューマン)の美女。

 プロポーションも抜群で、露出の多い服を着ている事が多い。

 間延びした、だがどこか艶っぽい話し方をする。お色気枠。独身。

 「バフ魔法」のスペシャリスト。他の系統もバランスよく使いこなす。

 実はヴァサリスとリリスリアが子供の頃から今の姿である最年長。

 ヴァサリスとリリスリアの魔法の師匠でもある。

 実力をはじめ、いろいろと隠している事が多い。


第八席

 ヴァッシュダイン(33歳)

 金髪青眼の美男子。ただしシリスが好き。ホモ枠。独身。

 シリスをものすごく愛している。「男が好きなんじゃない、シリスが好きなんだ」

 娼館などにも出入りしているようなので、その辺は謎。

 一度ファウラに公衆の面前で歳を聞いて凍らされたことがある。

 お調子者。

 「風魔法」のスペシャリスト。

 理由は誰にも語らないが、魔物(モンスター)をひどく憎んでいる。

 実は聖シーズ中央王国の貴族の出である。


第九席

 レオンハルト(37歳)

 ハゲの筋肉。眼はアンバー。顔はうるさいが美形。ハゲ枠。妻子持ち。

 剃っている訳ではなく若くして禿げた。結婚時は剥げていなかった。

 ハゲでもにあうように体を鍛えた結果筋肉となっている。

 年頃の愛娘に「ハゲ嫌」と言われて以来やさぐれている。

 幸いおくさんの愛は毛髪の有無では変わらなかった模様。

 後にツカサの「独自魔法」で髪の毛を取り戻し、ツカサに頭が上がらなくなる。

 広告塔として活躍し、この世界(ラ・ヴァルカナン)においてハゲは治る病であることを浸透させるのに尽力した。

 「防御魔法」のスペシャリスト。


第十席

 リオレイアス(40歳)

 茶髪茶眼の髭ダンディー。例によって美形。髭枠。妻持ち(ロリ)

 髭をこよなく愛している。剃ったら死ぬ。

 奥方は当年とって12歳のロリ。

 貴族の令嬢で、魔法遣いの才能を持っていたので家庭教師として教えに行っているうちに惚れて口説いた。よって真性。

 ロリコン死すべし慈悲はないパート2。

 奥さんがセトに憧れているので嫉視している。おい不惑。

 「空間魔法」のスペシャリスト、特に結界系を得意とする。


第十一席

 シズク(29歳)

 緩いウェーブのかかった金髪と、澄んだ蒼い目を持つ美女(男)。

 どこからどう見ても貧乳美女だが男。本人は至ってノーマルな男で女装をしている訳でもないし、男が好きな訳でも、男に好かれたいわけでもない。

 実は結構女好き。男の娘枠。独身。

 回復魔法のスペシャリスト。

 聖シーズ中央王国で有名な踊り子に惚れており、酒場で一緒に踊ったりしている模様。

 「美女二人」に見られたりするのを楽しんでいる。


第十二席

 ニコラス・レンフィールド(45歳)

 白髪と黒に限りなく近い紅の瞳を持つナイスミドル。おじ様枠。独身。

 純白の髪をオールバックに撫でつけ、左目に片眼鏡(モノクル)をかけている。

 通常魔法も全般的に使うが、ユニーク魔法の遣い手。

 己の魔力を込めた人形を使役する「人形遣い」

 人型に限らず、動物の形であっても操る事が出来る。

 人形の視界を、左目で共有できる。

 お気に入りは「巨大な熊の木彫り」

 おかげでツカサに「玄関」もしくは「金太郎」と呼ばれる羽目になる。

 

第十三席

 オーズ・オルレイン(38歳)

 茶髪茶眼の中肉中背。見た目だけで言うなら普通のオッサン。おっさん枠。妻子あり。

 「魔法遣い」だけあって、奥さんはえらく美人。息子もその遺伝子が勝利して美形。

 ツカサの心の友となる。普通万歳。

 一昨年に開催された「序列戦」で当時の第十三席に挑んだ、当時「魔法兵団」のトップだったおっさん。

 バランスよく多くの魔法を使いこなす秀才タイプ。見た目はただのオッサンだが。

 「魔法兵団」での待遇でも全く不満はなく、世界(ラ・ヴァルカナン)を護る仕事に誇りを持っていたが、一人息子が聖シーズ中央王国の第四王女に惚れたため、頑張ってそれが許される家格になるために「序列戦」に挑み、勝利した努力人。

 なお息子はただの片想いで玉砕した模様。

 セトとティスの両親の先輩でもあり、ティスの事には心を痛めている。

 今回の「序列戦」では「入替戦」が無かった事に胸をなでおろしている。

 自分が「十三使徒」のうちに息子にはいい嫁さんをもらってほしいと思っている。

 息子よ第四王女は諦めろって。「絶対不敗」籠絡要員に選ばれておられたし。

次話 序列戦

1/20投稿予定です。


読んでもらえたら嬉しいです。


今週末で十三使徒編完結にたどり着けそうです。

それまでお付き合いいただければ嬉しいです。

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