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始まり3
「…京都へ行きます!」
二人とも驚いたようだった。外は危険と云われたのに、行くと云っているのだから驚くのは当たり前だ。
「…蒼に手袋を一刻も早く付けさせたい。」
「しかし、それは……」無理だと、仙は云った。
総大将が思ってることも仙が思ってることも分かる。総大将は僕の右手首にしかない妖気をどうにかしてあげたい(したい)と思っている。仙はこの妖気をどうにかしたいとは思っているけど、外は百物語の妖怪達が暴れているから危ないと、僕の身を案じてくれている。
「危険なのは、承知してます。だからこそ早く行って妖気を消したい。妖気をある程度消さなきゃ妖怪が襲って来るんでしょう?だから………」二人は微笑んで、分かった行ってきなと、云ってくれた。
「……でも、条件がある。」
_____総大将は蒼に京都へ行くことを了承してくれた。そのためには、ある簡単な条件を付けた。その条件とは、一人の雪女を護衛につけるということだった。
次項から京都編になります。




