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再会
「着いたぞ」桜家に蒼と龍が着いた頃、辺りは暗くなっていた。花院家を出発してから4日目の夕暮れだ。
「あら、蒼じゃないの。修行は終わったの?」雪穂が出てきた。「終わってなかったらここに来ない」「あんたもいたのね…」「いちゃ悪いのか」雪穂は龍を無視し「蒼あんた大丈夫!?顔色悪いけど…ちょっと、龍!蒼になんかしたんじゃないでしょうね!」龍は目をそらし「何もしてねえ。ただ、鬼を倒しただけだ」蒼の身体がビクついた。「…鬼を倒すときに何かトラウマになるような方法を使ったんでしょ!」「…水狼に喰わせた」龍は小声で答えた。「聞こえない!」「水狼に鬼を喰わせた!」雪穂は龍を殴った。「グーはねえだろグーは!」
「蒼、行くよ」雪穂は蒼を担いで地下へ進んだ。
「…蒼、無事だったか」地下に行くと仙や咲がいた。「…」蒼は頷くだけだった。「蒼はどうしたの?」「あんたの兄にひどい目に遭わされたのよ!」「あー…龍兄ちゃんまたやったのね…水狼」