出発
蒼が花院家で修行を行ってから7日が経過していた。
「爺ちゃん、龍兄、ありがとう」蒼は笑顔だった。7日の間1日も休まず修行を行った蒼の顔つきは花院家に来たときとは比べものにならないくらい成長を物語っていた。
「蒼、咲から連絡が来ての、云わずにいたが…」「桜家が襲われた」「!?なんで…」蒼は驚いたが「誰に襲われたの?怪我人とかいない?」「大丈夫じゃよ。怪我人はいたが、命に別状はないと書いておる」「良かったぁ」爺さんの言葉を聞き、安心していた。
「修行も終えたし僕、桜家に戻るよ」次の日の朝、云った言葉だ。爺さんはそうか…と云ったが俺は「一緒に行く」と云ってしまった。2人は驚いていた。俺が自発的に行動する事なんて仕事以外にないからな…。
「大丈夫か?」「呪いのことかい?大丈夫じゃよ」爺さんは厄介な体質の持ち主で様々な人からの願いや呪いを受けてしまう。爺さんは昨夜から呪いを受けていて、今も起きれるほどの力は無いはずだ。「俺がいない間、大和に世話を頼んどいたから」「龍がそこまで気が利くようになったとは…」爺さんは感動をしていた。俺は爺さんからどのような印象だったのだろう…きっと酷い印象なのだろう。
「龍兄、早く!」蒼が急かす。「うるせえ、もう少し待ってろ」俺は蒼を待たせ、大和と少し話した。
「龍がそこまで気が利くとは思ってなかったよ」「お前まで…」俺はため息を付いていた。「ともかく、爺さんの事は任せて早く行った方がいいよ」玄関から蒼の声が聞こえる。ったく…「…行ってくる。ここにも敵が来るかもしれないから、頼んだ」「分かった、任せといて」大和は花院家で一番弱いが、それでも陰陽師の中で力がある。花院家の陰陽師は強者揃いだからな…。トップクラスというわけだ
「待たせたな」「龍兄、遅いよ。早くしないと…」蒼が急ぐ理由もわからなくないが…「手袋をはめたか?」「ちゃんと右手に、ほら」蒼の右手には肘まである手袋がはめられている。これは妖気を抑えるためのものだ。
「お世話になりました!」蒼は花院家にお辞儀をし、俺は何も云わずに桜家へ出発した。