遭遇
辺りが明るくなり始める頃、雪穂は蒼と同い年くらいの男の子にあっていた。
辺りを見てくると出てきたのは良いんだけど…。この子絶対危ない!「やあ、初めまして」男の子は人懐っこい笑顔で雪穂に挨拶をした。「あなた誰よ!」雪穂は男の子を睨みつけた。「僕の名前は誠。百物語の者さ」百物語…「よくも私の家を襲ってくれたわね!」「襲う?ああ、だって君らが邪魔だったんだもん」「妖のくせに…ひどい奴ね」「…酷い?僕らは妖の本当の姿を見せてるだけさ。妖が人と結ばれた?そんなことあっていいわけがない!妖は人々から恐れられなくてはいけない存在なんだ!」「総大将は…『人々から恐れられるのも妖だ。だけどワシは人々を守っていきたいと思うんじゃ』って云ってたわ」誠は呆気にとられたような顔をした「あなたに意味がわかるかしら?わからないようね、その様子じゃ」私はそのまま誠を残して地下訓練所に戻った。途中に崩れそうな場所があったから氷で補強しといたけど所詮は氷。すぐ溶けてしまうわ「仙様に報告しましょう」
「見てきましたわよ」「お帰り、雪穂ちゃん。大丈夫だった?誰もいなかったかい?」「仙様、ただいま。仙様が見たという少年が居ましたけど特に問題はありませんでした」「……」仙様が暗い顔つきになって私を抱きしめた。