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地下訓練所
雪穂たちは被害が遭っていないと思われる地下訓練所へ向かった。
「案の定ここには来てないみたいね」地下訓練所には春様をはじめとする力を持たない妖たちがいた。
「雪穂ちゃん、お帰りなさい」春様はその場にいる全員を安心させるような口調で云った。「仙くんのおかげでこの子たちが無事だったわ。ありがとう」「「仙の兄ちゃんありがとう」」幼い妖たちは仙に礼を云った。「無事で良かったよ。ここに来る途中で逃げ遅れた奴もいたが、こいつのおかげで助かった」仙は咲の頭をぐしゃぐしゃとした。「仙さん!兄ちゃんみたいなことしないで下さいよ」咲は髪を整えながら途中でひろった妖を降ろさせた。「《賦》、お疲れ様」「咲ちゃん、家の子たちをありがとうね」春様は咲に礼を云い、怪我をしている妖の治療にあたった。
春様は人間だが普通の人間にはない治癒能力があり、他人の傷を治すことが出来る。
「俺も手伝います。雪穂ちゃん、ここは安全だと思うけど一応辺りの様子を見てきてくれないか」「はい、仙様」雪穂が地下を出る。「私は…お布団を敷きますね。眠そうな子がいるので」