第6章:スライムとランウェイ、歩いてみた
王都。魔導産業の最前線。商才と美貌とコネが渦巻く戦場──
その名も**「第十回・魔導商品コレクション(通称:マジコレ)」**!!
「スライム商品でトップを獲るぞ!!」
『貴族たちのハートもぷるぷるさせましょう』
「だからそういうのやめろって言ってんじゃん!!」
◆ ◆ ◆
マジコレ初参加となるティアナ&スライム商会チームは、
シャルロッテと共同でブースを出展。
展示商品は──
・ぷにぷに香水ジェル「恋するぷるフローラ」
・保湿+魔力回復+芳香「寝る前スライムパック」
・モフれるスライム型ルームライト「よるぷに君」
「……我ながら、クセが強い」
『だが売れる』
「否定できないのが悔しい!」
◆ ◆ ◆
そして事件は起きた。
展示会の主催者がティアナの元を訪れ、こう言った。
「そちらの商会、評判がよろしいので──ランウェイ部門にも出演していただけませんか?」
「……えっ? ランウェイって……歩くやつ?」
「はい、モデルとして」
「いや無理無理無理無理無理無理無理!!!!」
『衣装はすでに届いています』
「手回し早ァア!!?」
しかも届いたのは──
スライムテーマのドレス(ヌル光素材)+スライム型カチューシャ+ぷにぷにヒール。
「これ、誰が考えたの!?」
『私です』
「おまえかぁぁぁぁぁぁああああああ!!」
◆ ◆ ◆
──そしてランウェイ当日。
観客「誰だあの子……」
観客「ぷにぷにしてる……」
観客「スライムがモデルしてる……尊い……!」
ティアナ、緊張の極みで完全無表情スライムモードで歩く。
その後ろをついてくるスリィ(王冠付き・マスコット仕様)。
・会場:ざわつく
・カメラ:連写モード突入
・貴族淑女:失神者複数
『ティアナ様……今、世界が貴女に恋しています』
「なんでそんなラブコメの決め台詞みたいなこと言うの!?」
◆ ◆ ◆
その夜、控室にて──
シャルロッテ「やるじゃない。さすが私が見込んだ女」
ライオネル「……美しかった」
ノエル「結婚式の予行練習だったッスか?」
メガネ「眼福。新作香水“艶麗スライム”の参考に」
スリィ『私は最初から推していました』
「うるさい!!!」
こうして、スライム商会は展示会で大成功を収め──
貴族社会に“ぷるぷる旋風”を巻き起こしたのであった。
──ただし、本人の羞恥心は大ダメージだった模様。
⸻
【次回予告】
名声と商機を得たティアナ。だが、その活躍はついに王族の耳へ届く……!
かつて自分を断罪した元婚約者との、因縁の再会!?
スライムは見た! 貴族の皮を被ったクズの素顔を!
次回、**「再会、そして断罪返し」**──あの頃とは違う私を見せてやる!