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第3章:貴族眼鏡、スライム技術に敗北す

ある日、村に──メガネがやってきた。


いや、正確には「貴族風の知的な美形男性が訪ねてきた」んだけど、

第一印象が「メガネ」だったので、私の中では**“メガネ”で確定。**


「失礼。貴女が、ティアナ・ルクレール様ですね?」


「うん。元悪役令嬢で現スライム大好きな変人だけど、それがどうかした?」


「…………思ったよりも自己紹介の癖が強い」


◆ ◆ ◆


メガネの名はフォン・アルセイン。

王都でも有名な魔道具商会の経営者で、スライム製品のうわさを聞いてわざわざ視察に来たらしい。


「……して、その製品はどのような構造で?」


「これが“スライムヒートパック”、ぷにぷにして温かくて夜は最高!」


「お、おお……! まるで抱き枕と魔道具を掛け合わせたような……!」


「そうだよ、商品名は“おやすみスライムくん”!」


『命名センス、もう少しなんとかならなかったんですか』


「ぬいぐるみっぽいでしょ? 実はスリィの弟分」


『知りませんよ!? 勝手に家族を増やさないでください!?』


……と、軽くいつものボケツッコミ劇を展開していたのだが。


◆ ◆ ◆


気付けば、メガネが私をじっと見つめていた。


「……貴女の発想力と技術力、実に面白い。ぜひ、我が商会と提携を──」


「おっと、スリィ、今あからさまに“この男も落ちたか”みたいな目で見ない」


『では、“メガネ、好感度上昇中”と表示しておきましょうか』


「だからステータス表示するなって言ってるでしょ!? なんのゲームなのコレ!?」


一方で、当のメガネも平然とこう言うのだ。


「ちなみに私は結婚願望があり、子供は3人欲しいと思っておりまして」


「自己開示のスピードが光速すぎるよ!? まだ初対面!!」


◆ ◆ ◆


……そしてその日の夜、スリィが言った。


『あの男、非常に危険です。スライムに対してライバル心を燃やしていました』


「そこ! 人外と人間で張り合わないの!!」


『ティアナ様は、誰の嫁になるのですか?』


「ちょっと!? なんでスライムまで恋愛バトルに参戦してるのよ!? 私、今のところ恋愛する予定ゼロだよ!?」


『ならば私の勝ちですね』


「おまえ自分が何者か忘れてない!? ぷるぷるのスライムだよ!? 生物学的にアウト!!」


──とかなんとか言ってるうちに、

気がつけば、メガネは村に滞在を決め、鍛冶屋との火花バチバチ男の会議が始まっていた。


「スライムを冷却素材に使うなら、内側構造はこうだ」

「バカか、ぷるぷるをナメてんのか」

「……いや、ナメたくはないが、触りたくはある」


「ちょっと待て!! 何の戦いだコレ!!」


スライムを中心に巻き起こる、奇妙な三角関係(と一匹)。

悪役令嬢の第二の人生は、いよいよヌルヌルにモテモテな展開へ!



【次回予告】


スライム商会、ついに始動!?

王都から逃げてきた美少年が「お姉ちゃんを守るっス!」とバイト志願!?

そして、村の女児たちによる“ティアナ争奪戦”も勃発──

次回、「元婚約者の弟、村でバイト始めました」

――ぷるぷるモテ道は、まだまだ続く!

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