第8章:スライム大増殖!ぷるぷるパニック村
それは、ある晴れた朝のこと。
私はのんびり紅茶をすすりながら、朝刊(スライム商会発行)を読んでいた。
「ふふん、今日も平和ね〜。商会の売上も順調、工房も絶好調。スリィも静か──」
『ティアナ様、たいへんです。工房の裏がぷるぷるしています』
「……ぷるぷる?」
私は窓の外を覗いた。
「──え、ちょっ、待って、何これ。スライム畑がぷるぷる祭りになってる!!」
そこには、ぷるぷるぷるぷるぷるぷるぷるぷる──
限界突破したスライムたちが大量に繁殖し、畑一面を覆い尽くしていた。
スライム:100体以上。
スライム密度:限界突破。
ぷにぷに指数:災害レベル2.0(癒し系)。
「なんで!? 何が原因なの!?」
『昨晩、“活力促進スライムジェル”の試作液がタンクから漏れていました』
「それ……肥料にしちゃダメなやつ……!」
◆ ◆ ◆
村の朝は一変して“スライム避難訓練”に。
「おかーさーん! ぷるぷるが靴に入ったぁぁ!」
「井戸の中がスライム温泉になってるぞォ!!」
「ぷるぷるに押し出されて庭がなくなったァ!!」
「ごめん!! すっごいごめん!!!」
◆ ◆ ◆
そしてここで問題発生。
『スライムたち、ティアナ様に懐きすぎて、指示を無視して寄ってきます』
「何それ怖ッ!? 私、女王様みたいになってるの!?」
どこからともなく群がってくるスライム軍団。
私の姿を見るやいなや、ぷるぷるぷるぷると抱きついてくる。
「やめて!? わたしそんなに包容力ないから!? このままだとスライム王国できちゃうから!!」
『それはそれで面白いかもしれません』
「やだよ!!」
◆ ◆ ◆
このままでは村が“ぷるぷるで埋まる”のは時間の問題。
そこで、私は緊急対応を発表した。
「全スライム、スライム牧場第2号へ転送ッ!!」
ライオネル「転送装置、爆発しないだろうな……?」
ノエル「また村が吹き飛ぶのか……(震え声)」
シャルロッテ「私の香水倉庫だけは死守して!!」
メガネ「……最悪の場合、これを“癒しの観光資源”として売り出す手も──」
「考えが強欲!!」
そして転送装置、起動。
──ブゥン──
ぷるぷるぷるぷるぷるぷるぷるぷる(高速移動)
スライムたちは列をなして、第二牧場へ自発的に大移動。
村人「なにこれ……思ったより整然としてる……」
村人「すごい……感動する……ぷにぷに行進……」
村の子ども「がんばれ〜! がんばれぷにぷに〜!」
『群れの統率力、さすがスライム』
「すごいけどなんか違う気がする!!」
◆ ◆ ◆
こうして、“スライム大増殖事件”は無事(?)収束。
スライムたちは第2牧場でのびのびと暮らし始め、
村人たちには癒しのマスコット集団として定着する。
……ただ、村のど真ん中に建てられた看板のせいで、またしても勘違いが発生した。
《スライム王国・初代女王 ティアナ・ルクレール》
「誰が建てたぁぁぁああああ!!!」
『もちろん私です』
「スリィィィィィィィ!!」
⸻
【次回予告】
平穏な日々も束の間──スライム製品に目をつけた謎の怪盗が現れる!?
狙われたのは“究極の癒し”と名高い“スライムボディピロー”!
ティアナ&スリィが名探偵となって事件を追う!?
次回、「怪盗ぷにゃん、スライムを盗む!?」
名推理とラブの罠(?)が交差する!




