↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
58/88

死者の足音

祐一はその異様な足音を聴いた瞬間、すぐに直感的に察知した。スピノサウルスが静止しているにもかかわらず、何かがまだ終わっていない。それは、ただの恐竜の暴走ではない。


「紗香、すぐに離れろ!」祐一が叫び、紗香を引き寄せようとするが、彼女は動かなかった。


「何が…?」紗香の顔には恐怖が広がり、息を呑んだ。


「動け!早く!」祐一は力強く手を伸ばし、紗香を背後に引き寄せた。その時、再び建物が大きく揺れ、今度は地下深くから響いてきた足音が、まるで地鳴りのように響き渡る。


「これは…一体…?」紗香は目を見開き、恐ろしい予感を感じ取っていた。


「この音…まさか…!」祐一はその足音を聞き、背筋が凍る思いだった。彼の脳裏に浮かんだのは、かつて父親の残した言葉、そして石化実験の記録だった。


「紗香、あのスピノサウルスがただの前触れだ。復活したのはあれだけじゃない。」祐一は冷静に言い放ち、さらに奥へと進む。


その時、ドアがガラガラと音を立てて開き、深い暗闇から無数の足音が近づいてくる。それは単なる一体ではなく、無数の生物が動き出している音だった。


「どうして…?これ以上、何が…?」紗香が震える声で尋ねると、祐一は険しい表情で答えた。


「スピノサウルスだけじゃない。復活したのは…あの恐竜だけじゃなく、他の石化された生物たちもだ。」祐一はその事実を受け入れ、これから起こる事態を理解していた。


その瞬間、さらに大きな衝撃が走り、建物の天井が崩れ落ちてきた。混乱の中、祐一と紗香は急いで避けるが、天井から落ちた瓦礫が足元を塞ぎ、二人は一瞬立ち往生した。


「早く、ここを出なきゃ!」祐一は力強く言い、瓦礫を押しのける。


しかし、背後から響く足音がだんだんと大きくなり、もう逃げる時間がないことを悟った。恐竜たちが目覚めてしまったのだ。恐ろしい力を持つ生物たちが、目の前に迫っていた。


「祐一、逃げるのは無理よ…」紗香は息を呑んでその場に立ち尽くす。


「まだ終わってない。これ以上は、どうしても止めなければ。」祐一は力を振り絞り、紗香を強く引っ張った。


だが、すでに手遅れかもしれない。無数の恐竜たちが目覚め、建物の中を動き回り、すべてを破壊していった。スピノサウルスの他にも、ティラノサウルスやヴェロキラプトルなど、かつて地球上で最強だった生物たちが、石化から解放されて目を覚まし、暴れ始めていた。


「ここを出なきゃ!今すぐ!」祐一は必死で出口を探し、どこかに安全な場所を見つけようと動き回る。しかし、その足音はどんどん近づいてきていた。


「動いて!私たちが止めなきゃ、この研究所の暴走は止まらないんだ!」祐一は紗香にもう一度言い、足元に転がっていた通信機を拾い上げた。


「これで…本当にすべてを止める方法があるのか?」紗香はまだ信じられない思いで祐一を見つめる。


「信じるしかない。やるべきことは、もうわかってる。」祐一はその言葉と共に、通信機を操作し始める。


その時、耳をつんざくような爆音が響き、建物がさらに揺れた。恐竜たちの暴走が加速し、もう戻れないことを悟った二人は、最後の手段に賭けるしかなかった。


「これが、最後のチャンスだ。」祐一は決意を固め、その先へと進んでいった。


だが、その先に待ち受けているものが何か、二人はまだ知らなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。