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黒猫の部屋



「これはただのオカルトじゃない。科学的に、どこかで何かが起きていた。父はそれを確かめようとしていた」


**


翌日。

祐一と紗香は黒猫と老人が暮らしていたアパートを訪れる。


部屋の中は埃っぽく、家具も最低限。

しかし、祐一の目が鋭く光った。


「妙だな。ここ、誰かが“あとから手を加えてる”」


例えば壁のひび割れ――明らかにコンクリートが新しい。

しかも、一部だけ“中から盛り上がったような形”。


「……この中に何かがあった?」


紗香が無言で頷き、ナイフで薄く壁を削る。

すると、中から出てきたのは――灰色に変色した、猫の片耳のようなものだった。


**


「これは、石になってる……」


「まるで“封印”されていたみたいに見えるね」


現場に残されていた鏡を祐一が調べると、

鏡面の裏に、小さな英文のメモが貼られていた。


“When the eyes are watching, it petrifies.

 Beware of the mirror that remembers.”

(視線が注がれるとき、石になる。記憶する鏡に注意せよ)


**


「“鏡が記憶する”……何かの暗号?」


「あるいは、古い研究のメタファーかも」

紗香は呟く。


「この件、何かの“前兆”かもしれない。父が最後まで記録を残した意味……それが、今になって動き出してる」


**


そして夜。

事務所の暗がりの中――


資料を並べたまま寝落ちする紗香の隣で、祐一は静かに壁の地図を見ていた。

印をつけた場所は3つ。すべて“石化現象”の痕跡がある。


「東京で、何が始まってるんだ……?」


そのとき。

机の上に置かれた“老人の鏡”が、微かに揺れた。

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