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オポァカ  作者: 海舟 現
3/3

第3話 人生(ラブロマンスウェイ)に喝采を

ある日のこと。廊下を歩く薄陰にニヤニヤしたウィズダムが声をかける。

ウィ「ぉいヒサ、向こうの廊下で面白いこと起きてるぜ!」ニチャ

薄陰「俺のこと”ヒサ”って呼ぶのキモイな(汗)」

そう言いながらも小走りでウィズダムについていく。


とある教室に入ると野球部員の木木木守キキキマモルと帰宅部の銭田快斗センダカイトによって小競り合いが繰り広げられていた。


薄陰「うぁ、よくある喧嘩ねぇ、で。原因は?」

ウィズダムが指差しながら話す

指差す先に、少し戸惑う女子生徒 神岡シャイニング真子がいた。

ウィ「ほぉらあそこ、ダンス部のエースであり1学年のマドンナの神岡さんだ。身の程知らずな二人が神岡さんを巡り漢としての意地を見せ合ってるんだ。」

薄陰「ははぁ、しょうもない。」

ウィ「ま、俺なら神岡さん守ってやれるんだけどなぁ」

薄陰「出た、一番きもい発言」

ウィ「ぶぁか、冗談だろ?わめくなって」

噂を聞きつけ、小田や瀬戸ミコもやってきた


木木木と銭田は真剣な眼差しで互いを見ている

しばらくの静寂。

風で二人の髪が靡いた。

(誤解を生むので書いておきますが、木木木は野球部の規則で坊主のため髪は靡いていません)


3木「今日がお前の命日だ銭田。ついに俺の人生ラブロマンスウェイの邪魔者を排除する時が来たなぁ!」

※3木=木木木


銭田「オメェは神岡さんに釣り合ってねぇよ、神岡さん、下がっててね!^_^」


神岡「え、あ、うん汗」

神岡は苦笑いした


ウィ「いや神岡さん無茶苦茶困っとるやん」


神岡の周りにはダンス部のメンバーが複数付き添っており、銭田、木木木の勘違い発言に逐一ツッコミを入れる。しかしそんなことは二人の耳に入らない。


薄陰「こりゃあ二人とも止められないな笑」


小田「俺の”口封じのイド”で二人黙らすか?」

瀬戸「いや、面白いから見てみよ!!笑」


さて、薄陰らの他にも続々と見物客が集まり熱狂に包まれている。


3木「おいおい、予想以上だなぁ、こんなにたくさんのオウディエンスが俺を応援してくれている。力が漲るぞ」

銭田「”俺の”サポーターの間違いだな、勘違いすんな。この盛り上がり、強師大会決勝みたいだ。」


ウィ「どっちも応援してねぇよ」

薄陰「どっちも大分自惚れてんなぁ笑」


銭田が早速攻撃を仕掛ける

銭田「”硬貨乱射メダルランチャー”!!」


銭田は“メダル射出のイド”の発現者である。

自身の腕からレールのようなものを出現させ、無数のコインが木木木に向かって射出された。


木木木はニヤリと笑い床に両手をつく

3木「”防風林”!!」


木木木は“防風林のイド”の発現者である。

ニョキニョキと床から木が生え、それらの木々がメダルを受け止めた。

ペチペチペチペチ…

銭田の射出したメダルは勢いを失いあっけなく床に転がり落ちた。


ウィズダムは床に落ちたメダルを拾った。

ウィ「…おいよく見たらゲーセンのメダルじゃねぇか。あいつただの泥棒やん」

銭田はウィズダムの発言が耳に入り怒った。


銭田「どぅおいそこの長髪!俺を泥棒呼ばわりしたな!?」

ウィ「いやそれ以外のなんでもないやん。」

銭田「俺はこれをいちいち飲み込んで充填しなきゃいけねぇんだ!!」

薄陰「…いや汚っ!!」


周りからも悲鳴が上がる


3木「おいおい好感度下がりまくりで可哀想だぜ銭田くん。」

木木木は再び手を床に付ける


銭田「いやぁまずい、全部メダル射出しちゃったよ…またゲーセンで調達しなきゃ」


3木「”暴封林”!!」



木木木は先ほどの守りに徹する木々とは打って変わって攻撃性の高い木々を生やした。床や天井、教室の壁からもニョギギと木が出現する。

木が一斉に銭田にぶつかる。

銭田「ぐわっ!きついって!」

銭田の敗北が見え始めた。


木木木はハイになり周りが見えていなかった。


観衆も木々にぶつかりそうになる。避けることに必死になり皆パニックになってしまった。


小田「薄陰ぇ助けて!」

ウィ「オメェは小さいからぶつかんねぇから瀬戸さんと逃げろ…薄陰、この状況危ないな。」

薄陰「うん、みんな助けなきゃね。」


小田、瀬戸含めた一部観衆は教室から脱出し、薄陰とウィズダムは残った人々の救出を試みる。


薄陰「イド無しで人助けする勇気は尊敬するよ」

ウィ「そこも変態って言ってくれなきゃ調子狂うぜ」


余裕そうな口ぶりのウィズダムだが木々の攻撃で複数の擦り傷を作る。なんとか残った生徒数人を抱え脱出した。

ウィ「美味しいとこはお前にやるよ。」

薄陰「ありがと」

薄陰は気配消しのイドで木々を難なくかわし、残ったダンス部の元に駆け寄った。


薄陰「みんな大丈夫!?...あっ」

神岡「…」


二人はダンス部と木々に囲まれる中、しばらく見つめあった。

ダンス部の皆が動揺する


初めて関わる二人はどういうことか心が通じ合った。

まさにディスティニィ。

何よりもそれに気づいた二人が一番驚いている。


薄陰は我に帰り危険な状況を再認識する。

薄陰「と、とにかく、危険だからみんな逃げよう!」

薄陰は神岡を抱えつつ、他のダンサーを誘導する。

そしてなんとか銭田と木木木がいる教室から逃げ出すことに成功した。


教室の外ではやはり薄陰に視線が集まっている。

ダンス部リーダーであり学年のマドンナ神岡と影の薄い若人がここ数秒で恋仲になっているのである。


小田/瀬戸「え?」

ウィ「おまっ…王子様かよ^_−☆」


スカしているのか集中しているのか…

薄陰「木木木たちを止めてくる。」

薄陰はすぐに振り返り、教室に向かう。


神岡「…あっ」

薄陰「あっ、俺は薄陰久仁…ヒサって呼んでよ」

神岡「うん…」


小田「いや急展開すぎるって」

ウィ「神岡さんとて看過できん。ヒサ呼びは俺の専売特許だろ」

瀬戸「…あいつも恋なんてするんだねぇ。守りたい人がいると…強くなれる。」



ーーー再び教室いや、森林に入った薄陰は木を掻き分ける。

奥にいる銭田を見つけ、彼の前に立つと、迫り来る木々を次々と腕でいなした


銭田「お前、真剣勝負に水刺すなって!」

薄陰「いやどう見ても君きつそうだったし!」

3木「お、2対1か!!そんなことで俺は怯まんぞぉ!」


薄陰「二人ともいい加減にしようって!」

薄陰は半分呆れながら自身の気配を消す。

木木木が薄陰を見失う。次の瞬間背後からの彼の攻撃で木木木はあっけなく意識を失った。


倒れると同時に彼が作った森は消えてなくなった。


銭田「…木木木?...っしゃ!俺の勝ちだぁ!!」

薄陰「まだ言うか笑」


「そうよ!真子を危険な目に合わせて何言ってんのぉ?」

強気なダンス部メンバーである獣音破が怒鳴った。教室の安全が確保されたのを確認した観衆が続々と入ってきた。

皆銭田と木木木を罵倒していた。

銭田/3木「す、すみません…」

ウィ「反省しろー笑」


神岡「ヒサ…」

薄陰「あっ、神岡さん」

神岡「…ヒサ、私ビビッときちゃったんだ!私、”恋息吹のイド”で周囲の人に好かれちゃうんだよね。でも私、その力とは関係なく純粋に惹かれたの!」

薄陰は顔を赤らめる。

薄陰「あ、りがとう!」


余韻に浸る薄陰は何やら視線を感じた。銭田と木木木が鬼の形相で近寄ってきた。

3木「お前ぇ…死にてぇのか」

銭田「神岡さんと良い感じになってるのに...俺ら馬鹿みたいじゃねぇか!!」



薄陰「いや、これはさっき...」

銭田「おれの青春が...」

銭田はその場に倒れ込む。

ウィ「青春なんて手の届くとこにいくらでもあるぞ」


木木木は悔し涙を浮かべ走り去る。

瀬戸「あの野球部の子、いじけてどっか行っちゃった笑」


3木「薄陰ぇ…許さん」



新キャラのプロフィール

木木木守:防風林のイドの発現者。将来的には防風林の木の種類をバオバブの木にしたいらしい。野球部に所属している。

銭田快斗:メダル射出のイドの発現者。帰宅部のエースとしてゲームセンターで日々UFOキャッチャーやメダルゲームの腕を磨いている


神岡=シャイニング=真子:恋息吹のイドの発現者。無意識な愛嬌で数多の男子生徒を勘違いさせてしまう。愛嬌やイドとは無関係に薄陰と心が通じてしまい、何やら恋が始まりそうだ!人生(ラブロマンスウェイ)が始まりそうだ。


獣音破:強気なダンス部メンバー

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