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PARTNER  作者: 新山信仁
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第7話 特待生

「…あたし特待生なんだよ。知ってた?」


結衣はとっさに「この話はまずい」と思ったのか、話を変えてきた。


というか結衣は特待生だ。

家の事情もあって、特待生として転校してきた。


「知ってる。福井(担任の先生)が言ってたよ」


話が変わると、隼人は少し元気を取り戻した。


黒京こくきょう高等学校の学力での特待生は学年1位になれば学費全額免除だ。

結衣は特待生だが隼人の頭がよすぎるということもあって、学年2位でも学費全額免除と言われている。


ちなみに隼人は中学の時に満点を達成している。

だから結衣は「2位でもいい」のだ。


でも隼人は特待生ではない。

神山家のほうから特待生は断っていた。理由は学校を休むことが多いから。だ。



2人は屋上で話をしていたら車のクラクションの音が聞こえた。


「あ、ゴメン。俺仕事だからもう行くよ」


このクラクションは「仕事だから降りてこい」とのマネージャーの合図だ。


「うん。今日は1時間も授業出られないんだね」

「あぁ、上原に顔見せて、ちょっと話しただけだったな。じゃあな」


そう言うと、隼人は屋上から出て行った。

結衣は屋上から車を見下ろしていた。


隼人が乗り込むときに、偶然上を見て、結衣が下を見てることに気付いた。

手を振った。


「隼人くんって皆に大してああなのかな…?」


1時限目が始まる合図のチャイムがなると、結衣は教室へ戻った。




その頃隼人は当然、車の中で移動中。


「移動何分ぐらい?」

「まぁ、15分くらいかな」


隼人は、できるだけ周りには心配かけたくないという性格なので、すっかり元気は戻っていた。

だが……


「康隆くん、母親がいる感覚ってどんな感じ……?」

「は、隼人くん…?」


いきなり、彼のデリケートな所を自分から訊いてきて、尾花は驚いている。

驚くのも無理はないだろう。


「俺って3歳で亡くしてるから全然わかんねーしさ、正直皆を見てるとうらやましかったりする……」


内心を打ち明けた。


「何言ってんの…君と同じような人間は世界に何人だっている。大丈夫だよ」

「…ありがとう…」


「ありがとう」の後、隼人は微笑んだ。

隼人は今まで耐えてきた。苦しんだ。今になって、くじけることはできない、と思ったのだろう。

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