第3話 失恋
この日は休日。
隼人は仕事の予定も入ってない。
暇を持て余していたところに彼女の早川が家にやってきた。
話があるとのことだが何の話だろうか。
とりあえず隼人は家に入ってもらった。
「やっぱり広いね、この家。何度来てもなれないや」
隼人は父親が元々金持ちの為、家も豪邸に住んでいるのだ。
大体庭なども合わせると約1500坪もある。
その父の職業は会社の社長。しかもアメリカにある会社の。
今は本社で仕事している。ということはアメリカに居る。2年前にアメリカに行ったきり、帰ってこない。時々電話などでやり取りはしているようだが。
「で、話って何?」
「あのね……」
すごく言いにくそうにしている。
少し沈黙が続いた。
「ごめんなさい、私と別れてほしいの……」
話とは『別れてほしい』だった。
隼人は予想外だっただけに驚いている。
「なんで…理由はなんだよ」
信じられず、理由を訊いた。
隼人は別れたくはない様子だ。
「テレビとか見てたら、なんか…遠い存在に感じてきちゃった……」
早川も隼人も辛そうな表情をしている。
状況に耐えるのが辛くなってきたようだ。
「そうか……わかったよ」
「うん、じゃあ私帰るね…」
早川は出て行った。
それから数分後。
隼人が落ち込んでいると、静かな物音が聞こえた。
人が歩くような物音が。
隼人には誰の音かは見当は付いていた。
コツ、コツ、コツ……
「お兄ちゃん! たっだいま~!」
ハイテンションで隼人に飛びついてきた。
「梓、おかえり。今日は何買ったんだ」
梓と言うのは隼人の妹。中学2年生だ。ショートヘアで隼人と似たような髪の色。顔は隼人の妹ともあって可愛い顔立ちをしている。150センチの身長でスタイルは抜群。まさに美少女と呼ぶにふさわしい。
ちなみに梓がハイテンションで帰ってきた時は大抵何かを買った時。
隼人は既に何かを買ったとわかっていた。
「ハイヒール買ったの! かわいいでしょー」
そう言って隼人に見せつけてきた。
もうこういうことは何度もあったから隼人はなれている。
だが今日は…
「あっ、ハイヒールってことはさっきの音……」
「うん、そうだよ~」
さっきの『コツコツ』という音は梓がハイヒールを履いて歩いていた音だった。
「おいおい…また怒られるぞ」
この家は家政婦を3人雇っている。
料理人も2人。
「それよりお兄ちゃんなんでそんなにテンション低いの~?」
いや、明らかに梓のテンションが高すぎるだけだが、隼人もいつもとは少し様子が違うのは確かだ。
隼人はフラれたことを話した。
流石にショックだったのだ。
フラれるなど思っていなかっただけに。
「早く立ち直らないと駄目だよ?」
と言われて隼人は翌日からは元気になった。
そう、神山隼人は芸能人。こんなことでくじけてはいられない―――
妹登場。






