第2話 彼女
結衣が転校してきて、1週間が経った。
だんだんクラスに馴染んできた。
隼人には気になっていたことがあったので結衣に聞いた。
「なぁ、上原」
「なに?隼人くん」
結衣は普通に返答したが、隼人には普通に聞こえなかった。
「お前も下の名前で、か・・・」
隼人は有名人だからといって、
なぜかわからないが皆名字ではなく、名前で呼んでくるのだ。
結衣も皆が呼んでいるから名前で呼び始めたらしい。
「で、なぁに?」
「お前ってさ、どこから来たの?」
気になっていたとは結衣の出身地だった。
「あたしは北海道から来たよ。でもそこが出身じゃないけどね」
前は北海道に住んでいたが、出身は違うと言う。
「じゃあ出身はどこ?」
「沖縄なの」
結衣はにっこり笑ってそう言った。
笑顔が可愛い女の子とはまさにこの子のことだろう。
「沖縄、北海道、東京ってすげぇな~」
「へへ、すごいでしょ」
2人は少し仲良くなっていた。
そして放課後になり、隼人は一番仲のいい友達の笠原大典と下校していた。
大典はなかなかかっこいい顔に黒い長髪。ルックスも悪くない。男女問わず人気があり、モテている。
隼人と大典は同じクラスの1組。
「隼人ってさ、早川とまだ付き合ってたっけ?」
「あぁ、付き合ってるけど」
早川奈々美。黒いショートヘアに可愛い顔。平均より小さい身長だがスタイルは悪くはない。
そう、隼人には早川という彼女がいるのだ。
その彼女とは中学3年の秋から付き合っている。
高校は残念ながら別々になってしまった。
「へー、あっそ。それ聞きたかっただけ」
「なんだよ、それだけか」
夜になった。
隼人はどこにいるかというと、生放送の番組の収録スタジオ。
内容はサプライズゲストとしての出演。
隼人は2週間に1度は学校を休んでテレビやドラマなどの収録をしている。
連続ドラマには最近出演するようになってきた。
そして翌日。
この日は休日で収録もなかった。
隼人は家で暇を持て余していると、早川が家に来た。
「神山くん、話があるの。入っていい?」
「いいよ」
早川が言う話とは・・・?