始まる
「…」
自分の記憶とは違う景色に唖然としていた。
「どうした?お前の思ってる外とは違ったか?」
「う、うん…」
「さぁまず、あいつらから逃げねぇとな。俺がここに来るのわかってるからなー」
「ねぇ、なんで逃げてるの?誰から逃げてるの?」
少し間を空いた。
「うーん、いわゆる逆恨みってやつ?俺がこの世界をなんとかしようとしているのが悪ーい大人達は都合が悪いのか、なんか止めに来るんだ。おかげで罪人扱いだよ。ちなみにお前を助けたのはちょっと逃げるのに協力してもらいたいからだよ」
龍さんはなにかを思い出しながら喋っているようだった。
「さぁ、行くぞ。はやく行かないと俺が捕まっちまう」
一体この人は何をしようとしているか、結局わからなかった。だけど、この人がいい人なのはわかった。
「おい、瀬田!何ガキなんか連れてるんだ⁉︎」
なんか体がゴツくて怖そうな人がいる。
「あぁ、思ったよりはやく来たね」
訳がわからなかった。
「なぇなんなの?あの人は誰?」
「あいつは俺を捕まえようとしている奴だよ」
あいつが龍さんを捕まえようとしているのか。
「まぁ、いい。丁度さっき、お前を殺してもいいと許可が降りたところだ‼︎」
そう言った途端ゴツい人の手から火の玉が出てきた。
「あぁ、その能力か…」
もうすぐで龍さんに火の玉が当たる。まずい、
「龍さん‼︎」
ドンッ‼︎その瞬間だった。火の玉が空中で爆発した。
「能力…不可視壁」
「一体なにが…?」
何もわからなかった。
「これが俺の能力だよ。空気の密度を変えて硬くした。だから目の前で火の玉が爆発したんだ。ようは見えない空気の壁を作る能力だよ」
すごい、すごい能力だ。
「お前の能力は上から聞いてる。そして、その能力で作った壁の強度はそこまで高くないこともなっ‼︎」
ゴツい奴は火の玉を連発した。
「不可視壁」
龍さんの顔が少し歪んだ。今度こそ本当にまずいかも…
ガシャン‼︎ドーン‼︎
空気の壁が割れて龍さんに当たる直前で僕が龍さんの間に入り、龍さんを守ることができた。
「大丈夫ですか?」
「あぁ、うん。ありがと」
「あぁ⁉︎なんで俺の火の玉喰らって無傷なんだよ⁉︎ガキィ⁉︎」
「おじさん…不老不死の人間と戦ったことある?どうせないんでしょ。よかったね。今日、初めてそれと戦えるよ」
「やめろ、ここは俺がなんとかするから。お前戦ったことないだろ‼︎」
「うんや、僕戦えるよ。見てて、僕コイツ3秒で倒せるから」
「大丈夫か?」
「まかせてよ」
そう言った途端相手が火の玉を連発してきた。『3秒で倒せる』に起こったのかな?
ドンッドンッドンッ‼︎
僕は火の玉を喰らいながらゴツい人に近づいた。
「なんで無傷なんだ!?」
「…それはねぇ、僕が『不老不死』だからだよ」
僕はゴツい人に近寄った瞬間、殴りにかかった。
「ちっ!あぁぁぁぁ」
僕が殴ろうとした瞬間、ゴツい人は僕を蹴ろうとした。
「待ってた。それを」
僕は相手の蹴りをしゃがんで避けながら軸足にタックルして相手を転かすことができた。
「よくやった、大也。あとは任せろ」
そういって、龍さんはゴツい人に腹パンを喰らわした。
「ゴッフ‼︎」
思った以上に強かったのかゴツい人は気絶した。
「すごいね。君あれだけ戦えるんだ」
「うん昔ちょっとだけ、色んな人と戦ったことがあって、一対一なら負けないよ」
(一対一じゃなくても能力的に最強だろうけど…)
「あっ、やらなきゃいけないことあった」
そう言うと龍さんはゴツい人の頭に手を当て何かを言っていた。僕には何を言っているのか聞き取れなかった。
「じゃ、今度こそ逃げよか」
そしてこの2人の逃亡劇が始まった。
お待たせしました。ようやくバトル入りました。本当に遅くなりました。これからもよろしくお願いします。