拷問
大也の親が死んでから約1年の出来事だった。大也が喋ったのは。もちろん不老不死と呼ばれる能力を持っていながら、喋ったのは世界初だ。
「うぁぁぁ‼︎」
施設の人は悲鳴をあげた。
「どうしたの大声をあげて」
別の施設の人が現れた。
「オナカスイタ」
さっきから連呼している。
「え?うそ!?」
施設の人はあまりにも驚きすぎて腰を抜かした。
「こんなのホントに不老不死なの!?」
もう1人に問い詰めた。
「そんなのわからないよ。だけど、ここにいるってことは戸籍上、不老不死なんだろ?じゃぁ不老不死でいいんじゃ…」
「オナカスイタ」
後日
「本当に喋った不老不死があるのか!?」
「本物を出せ!!」
施設の前に野次馬が大量にいた。
「あの後、もしかして上官に話したろ⁉︎」
「話してるに決まってるじゃん‼︎」
ちょっと、キレ気味だった。
「上官の仕業よね⁉︎これ」
大也が喋った次の日、ネットに喋った不老不死の子供が発見されたと施設が発表したのだ。それはあっという間に世界中に拡散され、今の事態となっている。
「上官‼︎これ、どうするつもりですか!?」
1人の施設の者が声を上げた。
「こんな奴ら、ほっとけばその内いなくなる」
すました顔で言う
「こいつらがすぐに居なくなるわけないだろ‼︎コイツらのせいで、出入りができねぇんだよ‼︎」
「あぁ、わかった。じぁ今すぐコイツらをどかせばいいんだな?」
そう言うと上官は『情報部』に連絡した。
「何をした…?」
「見ていればわかる」
情報はニタリと笑った。
「なんだ?」
1人の野次馬が声を上げた。
「ネットに変なモンが上がってるぞ」
それを聞いた他の野次馬は一斉にネットを開いた。
「なんだこれ⁉︎」
そこに載っていたは大也の喋っている動画と近々、本物の『喋る不老不死の赤ちゃん』を出すショーをするということが書いてあった。
そして、施設の前に集る野次馬の前に上官が現れた。
「今、ネットを見た人はわかると思いますが、近々この施設で発見された喋る赤ちゃんをお見せするので、速やかにお帰りいただきたい」
とても丁寧な口調だ。
「何言ってんだ⁉︎今ここでその喋る赤ちゃんとやらを見せろ‼︎そもそも本当にいるんだろうな?」
「ええ、もちろん存在します。あなたは公式の記事を最後まで見ませんでしたか?そこに喋る赤ちゃんの動画を出しているはずです。」
ざわっ
みんな一斉に携帯を開いた。
『オナカスイタ』
そこには大也が喋った時の映像があった。
「それでも信用できないのであれば、ぜひ近々行うショーに来てください。大丈夫です。ここにいる人は無料とします。気軽に来てください。これ以上ここにいてもらうとその無料券は剥奪となりますので、速くこの場から離れた方がいいですよ。あ、後嘘ついても無駄ですからね。僕には『超記憶』という能力があるのでもしここにいない人やここに残り続けて文句を言う輩は覚えておくので、条件を達成してないのに無料になろうなんてことは無駄ですから」
そこにいた人は全員驚くほど静かに散っていった。
後日(ショー当日)
施設側が指定した公園には大量の人が押し寄せていた。辺りはとてもガヤガヤしている。
「お待たせしました。今日は喋る赤ちゃんの為にこれほどの人数集まっていただきありがとうございます。では本命の喋る赤ちゃん、大也君に出てもらいましょう」
観客は歓声を上げた。しばらく経って大也が出てきた。大也が出て来た瞬間、歓声は静まった。
「コ…ンニチ…ハ…ヨロ…シ…ク…オネガ…イシ…マス」
観客は唖然としていた。少し時間が経ってようやく1人が
「嘘だろ⁉︎ホントに喋った⁉︎」
と言って、それに釣られて観客全員が歓声を上げた」
ショーは大成功だった。
「よく頑張ったね〜大也〜」
「ア…リ…ガト」
それから、数日に渡り大也はショーに出続けた。それから幾つかのサーカス団やその他諸々から大也が欲しい、大也を売ってくれと言う企業がでてきた。施設側は大也を売った。売られた大也はそれからしばらく色々なショーにでたが、次第に飽きられ、活躍できなくなり、地下に閉じ込められた。
「え?なんで閉じ込めるの?出してよ出して〜」
大也が売られて50年は経っていた。大也はその50年の内で立つことにも成功していた。それどころか、不老不死ということもあり、能力ありの武闘会にも出場させられたりしていた。
幸い、閉じ込められた地下には食べ物が少量ある。これで数十年は持ちそうだ。
50年後
「う…うぅ」
僕はもうへとへとだった。さすがに何十年も食べないとキツい。そういえば最初の方は見張りがいたのに最近は来ないな〜。どつしたんだろ?
「死ぬ〜」
ご飯が食べたいなー。
そのときだった。ゴロッと壁から音がしたのは。
「なに〜」
僕がそう言った瞬間壁からすごい音がした。なにかが近づいている?
⁉︎壁に穴が空いた。
「本当にいたんだ。不老不死の餓鬼」
穴から出て来た男の人が言った。僕は腰を抜かした。驚いて。
「だ、誰?」
「俺?俺は〜ただの超能力者だ。実はとある理由で俺はある人から逃げているんだ。だから不老不死の君に手伝って欲しいんだ」
「えー」
「お前、お腹空いてるだろ?」
「え?なんでわかるのー?」
「わかるさー。顔見れば。俺と一緒にきたら飯やるよ」
「えーホントー行く」
やったー久しぶりのご飯だー。
「んじゃ外に出るぞー」
お兄さんが僕を抱えて出るみたいだ。
「そういやお前、なんていう名前だっけ?」
「僕はー、成 大也。お兄さんは?」
「俺は瀬田 龍だ。外着いたぞ」
久しぶりの外だ。
「あれ?なんか違う」
なんか僕の知ってる世界と違う気がした。ビルは廃れて、地面は砂だらけだった。僕が閉じ込められている間何があったんだ?