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トワの餓鬼  作者: スポーム
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世界一最悪の能力

不老不死

それは現在、全人類の最大の夢であり最高のものとされている。しかし、それは人生の途中に手に入れた場合である。もし人生の最初から不老不死を持っていたのであれば、

「老いる」こともなく、「死ぬ」こともなく、「成長」することもない。



ある日、また新たな生命が誕生した。

「おぎゃぁぁぁ」

「よしよ〜し、大也ちゃ〜ん。ど〜したの〜?」

大也とはこの赤ちゃんのことである。

「今日も元気ですね。大也くん。」

看護師がやってきた。看護師は体温と体調を聞き、話を切り替えた。

「ところで、そろそろ大也くんが生まれて1週間ですので、能力検査を行ってもよろしいですか?」

能力とは人が生まれながらに持っている特殊能力のこと。空を飛んだり、火を吹いたり…

能力はその人の体の一部であり、その人の個性だ。故に親は能力がなんなのか、とても気になってしょうがないのだ。

大也の母は「お願いします」といい、大也を引き渡した。

「では、1時間ほどで検査が終わるのでしばらくお待ち下さい」

そう言うと、看護師は部屋を出て行った。大也の母はベッドで横たわったまま、自分の子の能力のことを考えていた。大也の母は思い出したかのようにある人に電話をかけた。

「あなた、すぐ来て!大也の能力がわかるわよ」

息をきらして言う。

「本当か⁉︎わかったすぐ行く!」

焦った口調で返した。どうやら相手は大也の父のようだ。10〜15分くらいで父は病院に駆けつけた。過呼吸だった。

「能力はなんだった?」

父は病院に着くなりそう言った。母が検査が1時間で終わることを説明した。父はソワソワしていた。

「どんな能力になるかな?」

母が聞いた。

「そうだな〜。俺が『時間遅延』、お前が『時間加速』だから能力は『時間を操る』だったりして。」

嬉しそうに答えた。言い忘れていたが能力は基本、遺伝である。2人は自分の子の能力の話題で笑っている間に1時間が過ぎ、看護師が来た。

「能力検査が完了しました。」

気持ち暗い声で言ったような気がした。

「ど、どんな能力なんですか?」

父が恐る恐る聞いた。

「それは…」

2人は息を呑んだ。

「不老不死…です。」

2人の間に一瞬で絶望が走った。

「ほ、本当なんですか?」

母が声を震わせて言う。看護師は静かにゆっくりと首を縦に振った。

「冗談じゃ済まさねぇぞ‼︎」

父が怒鳴りながら看護師の胸ぐらを掴む。それを聞くと看護師は

「検査の結果、能力は『不老不死』だと出たんです。理解してください!」

と、少し強めにの口調で言った。

不老不死とはその名の通り、老いることも死ぬこともない能力である。一見、死なないのだからいい能力ではないかと思うが、老いることがないということは『成長することもない』ということになる。つまり一生赤ちゃんのままである。一生歩くこともなく、喋ることもない。そしてこの能力の厄介なところは遺伝関係なく一定の確率で生まれてくること。だから、親たちは自分の子の能力が不老不死ではないように祈るし、もしそうなったら、嘘と言って欲しいのである。

「その検査、間違い無いんだろうな⁉︎」

口調は強いままだ。

「ええ、間違いありません」

その言葉を聞くと2人は泣き崩れた。

「どうしても納得できなかったら、1年後この資料を持ってここに来て下さい。再検査いたします。」

父がその紙を受け取った。2人はしばらく何も言えなかった。それから3日ほど経ち母は退院の日をむかえた。2人とも眠れなかったのか、目の下のクマをつくり、フラフラだった。退院の後、何かの通知が鳴り止まなかった。友人や仕事仲間からの退院お祝いメールだった。そのメールの中のほとんどに「能力はなんだった?」という質問があった。父は携帯を地面に向かって投げた。家に帰る途中、近所のおばさんにも能力のことを聞かれた。父が

「聞かないでください」

とだけ言い早足で家に帰った。

それから数日が経ち、「2人の子供の能力は不老不死なのではないか」という噂が流れた。それから2人の家には「ゴミを生みやがって」「ゴミの親もゴミだ」

「死ね」などの張り紙が貼られるようになった。世間では不老不死の能力は赤ちゃんのまま育て親がおらずただ増えていくだけなのだから、不老不死はゴミ同然いや、それ以下に思われている。世界でも不老不死は問題になっている。だから、不老不死の子の親はまた新しい社会問題を作ったことから、まわりに責められる。親にとっては自分の子が成長しないにプラスでまわりにも責められるのだから、精神が持ってられない。2人はそれでも我が子が不老不死ではなきと信じ、大也を育てた。

1年後

再検査のため、2人は大也わ連れて病院へ行った。

「再検査、お願いします‼︎」

強い口調で看護師に資料を渡した。

「能力の再検査ですね。ではその子をお預かりします。」

数十分後

「一年前の細胞情報と全く変化が見られませんので、成長していない。つまり能力は不老不死で確定です。」

2人は崩れ落ちた。

「能力が不老不死ということですので、施設の件はどうなさいますか?」

施設とは、不老不死の能力だとわかった瞬間育てる気を失い子供を捨てる親の子や、親が亡くなった場合、不老不死の子供を預かる場所のことである。そこでは、不老不死の能力の解除方法やそもそも生ませない対策などの研究が行われている。噂によると人体実験的なこともやっているとか。このことから不老不死の子の親は自分の子を施設に預けるかどうかを決めることができる。2人はお互いの顔を見て同時に

「私たちが全力でこの子を育てます‼︎」


それから2人は田舎に引っ越し、3人で静かに暮らした。2人は大也のために海に行ってみたり、山に行ってみたり、色々な所に大也を連れて行き2人の思い出が増えていった。


2人は生涯全力で我が子を育て続け、その一生を終えた。

能力バトルと言っているのにバトル要素ゼロですいません。多分しばらく無いです。ご了承下さい。多分4〜5話位でバトルシーンでてくると思うのでそれまでどうかこの作品をお願いします。

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