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第4話 そら世界平和なんざ一生訪れないわ

 相模原は信じない俺が悪いとばかりに攻め立てる。




 俺が悪いのか?インターネットでもこの手のバズった嘘を嘘だと指摘した人が責め立てられる。なんて光景を何回か見たことはあるが




「バレバレの嘘信じりゃモテるってもんでもねえだろうが! 嘘原ぁ!」


 ついムキになって言い返してしまった。


 同レベル同レベル……同レベルになってしまう……




 冷静に冷静に。そうだよ話を戻そう。ロボットの話だったろ…脱線ってレベルじゃねえぞ!




 冷静になれ。ロボットタイプは未だ優勢なはずだ。例えば小指に小鳥を止めたりなんてムーブは断然こちらの方が映える! 優しそう! 素敵! 抱いて!




 なんだなんだ我が軍はまだ全然戦えるではないか! まだ舞える! それに俺にはまだ勝算があった。


 ロボタイプにはアンドロイドタイプにはない大きなアドバンテージが存在する。




「いいか相模原、メカタイプにはアンドロイドタイプにはない魅力がある。そう……モノアイだ!」




 相模原は首を傾けて興味なさげなご様子。




「モノアイ? 目?」


「そう。ザクとかについてるあれ。ザク知ってる? 流石に知ってるよな。ガンダムに出てくる緑のやつ。赤いやつもいるけど。その顔についてる”グポォン”って赤く光るアレよ」


「”グポォン”ねえ……」




 相模原は前髪を所在なさげにいじりながらグポォンと呟く。そうだよグポォンだよ。




「主人公を半壊しながらも助けたロボットが『あなたがパートナーでよかった』と遺言を残した後に光が失われていくモノアイ。これこそロボ系の特権!」




 そう! モノアイがキュウウウン……って儚げな音を発しながら光が失われていくこのシチュエーション!




 アンドロイドタイプじゃできないもんなあ~。かーっ! つれーわっ! もうちょっと論戦楽しみたかったけど勝負決まっちゃってつれーわ! 




 もう勝負ついてるから相模原。もう我慢しなくていいんだよ。負けを認めるのも勇気なんだから……




 俺は彼女に全面降伏を勧める。




「な!? わかるだろ? 認めな相模原。そういうわけでロボのが優れ「いや全然わかんない」




 ……んん? んん~? 聞き間違いかな? いや全然? いや全然って言った?




「相模原……今なんとお申し付けあそばされましたの?」




 相模原は表情が固まった俺に気だるそうに答える。




「いや目の色が消えてくから最高 !とか意味分かんないし。」




 な、ななな?わからないだと?こいつここまでわかってない奴だったとはな! 驚きだよ!




「はああああ?おい相模原! お前モノアイの良さもわからないのかよ?まさかまたお得意の嘘原じゃねえよなああ!」 




「目が光るか光らないかに一喜一憂してるロボオタがなんか言ってるねえ! ハッピーセットのおもちゃに『光ったああああ!』って喜んでるキッズと同レベルかな?知性は中学校に置いてきちゃったかなあ~僕ぅ~?」




 相模原は俺を見下しながらまくし立ててくる。




「ふぎぎ……」




 駄目だこれ。こいつ口喧嘩強いよ。俺って相手への怒りや憎しみより”こいつうまいこと言うなあ~”って感心が先に出ちゃうんだよ。




 いやそれよりも聞き捨てならねえことをこいつは口走ったよ。ロボット趣味をバカにしやがったよこいつは!


 戦争だろうが…! 思っているだけならまだしもそれを口に出したら戦争だろうが!




「ああ~! そういえばお前少女漫画が趣味だったもんなあ相模原! イケメン基準の考え方になっちゃうよねえそりゃあ」


「は? 何? 今ディスった? 少女漫画ディスりあそばされた? ねえ?」




 あ、相模原軽くキレてる。俺はキレたフリだったけどこいつは本当にちょっとキちゃってるわ。




「い、いやだってほらあ? 少女漫画ってアレだろ? パンを口に咥えて『遅刻遅刻~』からの曲がり角でイケメンとドーン! ってのだろ」


「それで?」


「そ、それでそのイケメンとくっついたり離れたりっての繰り返すだけのジャンルだろ」




「ねえ町田氏。あんた少女漫画読んだことあるの?」


「……ちびまる子ちゃんのアニメなら一時期見てたけども」


「うっわ最悪! 一番厄介なタイプのオタクだったんだね町田氏! 前からその片鱗は伺いしれてたけど!」




 相模原が大げさに身を仰け反りながら俺を猛烈にディスってくる。


 でもさあ~少女漫画ってどれも同じようなもんだろぉ?そこまで言うかなあ。




「食わず嫌いで食べもしないでそのジャンルをまるごと否定とか町田氏あんたカースト最底辺のオタクだよ!」


「でもイケメンと恋愛するって骨組みはどれも同じじゃん……」




「少女漫画はあんたが思ってるより単調でも一枚岩でもないっての! 多種多様で幅広いジャンルなの! はっきりいってこのジャンルを食わず嫌いしておいて漫画好きを自称してる奴は信用できないね!」




「壁ドン! 俺様系王子! 『何よあんな奴…でも…私気づくといつもアイツのこと考えてる…』」


「ギイイイー!」




 相模原の顔面が紅潮していく。効いてる効いてるう!




「それを言うなら町田氏! あんたのロボ趣味も大概だっての! 悪いやつ出てきました~構造上ありえない合体します~。合体するとめっちゃ強くなります~って。巨大ロボ系はどれも底が浅くて天井の低いジャンルだよね!」




 おいおいおい戦争だわこれ。こいつ言うに事欠いて巨大ロボバカにしたぞこの野郎おいおいおい。世界平和なんざ一生訪れねえぞこの野郎。

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