あくまで
続きです。グダグダと続いております。
私が起きたとき隣にはサラがいた。
一度部屋を出てお父様に私が目覚めたことを知らせに行ったらしい。
サラは簡単な体調チェックをするとお父様を呼びに、また部屋を出ていった。
寝起きで働かない頭だとあまり現実味ないが、少し残った頭痛や、鮮明に思い出すことのできるリベルサの記憶が、異世界に来たことを少しずつ実感させる。
そんな実感に意識をとられていると、少しだけ、ドアの向こうから足早に近づいてくる音が聞こえた。
ノックも無しにドアから現れたのは、肩に付かないくらいの緑髪に茶色の瞳をした美青年。彼は、私を見るなりベットに駆け寄ってそっと自分より小さな体を抱きしめた。
「リサ、元気になったんだね。よかった・・・」
この人は記憶で寝込んでいるときに記憶の中で幾度となく見たことがある。
リベルサの父親であり、ナイトレイ家当主のギルバート・ナイトレイ・バンブーだ。
現・国王を側で支えるこの国で王族の次に権力があるというとてもすごい人、らしい。
「三日も寝込んでいたんだ。体は平気かい?もう辛くは無いかい?」
「大丈夫ですわ!ご心配をおかけしました、お父様。」
「そうか・・・・・それならいいんだ。」
お父様は、柔らかく微笑んで私の頭を優しく撫でてくれている。でも、今のお父様は記憶の中より老けて見える。
おそらく、目の下の隈やこけた頬がそう見えさせているのだろう。体調を崩しているお母様を治すために無理をしたのがそのまま体に出て来ている。
ゲームでも存在でしか出てきていないリベルサのお母さん。しかしながら、先程見た記憶で彼女についてほとんど知れた。
アメリ・ナイトレイ・ウィスタリア。薄紫色のロングヘアに、桃色の綺麗な瞳を持った天女のような人だ。慎まやかでおっとりとしている、優しい母。
元々身分はそこまで高くなく、お父様とは政略結婚だった。けれど、そんなこと関係なしにこのふたりは互いを溺愛し、愛し合っている。
でも、リベルサを産んだあとから、だんだんとお母様の体調が悪くなってきていた。
産後間のない頃はまだ、散歩をしたり自由に動くことができた。
しかし、ここ一年でベッドで横になっている時間はどんどん増え、一日のほとんどを寝たきりで過ごしている。
これに関してはどんな医術師にも原因が分からず、治療法もないとのことだ。
でもお父様はあらゆる手を使い、世界中の文献や珍しい効能の花や植物を集めては温室へと植えている。
だからお母様は常に温室で過ごしている。
「今からアメリのところに行こうか。とても心配していたから、早く元気な姿を見せてあげよう。」
「ええ、そういたしますわ。」
お父様は私を抱えたまま体の向きを変えると、どこかへ歩き始めた。
行き着いた先はお父様がいつも仕事をしている執務室だった。
お母様のもとへ一番に駆け付けられるように。
小石サイズの翡翠の石が魔法陣のような模様が描かれた木の板に埋め込まれていて、それに手をかざすと一瞬で目的の場所へと着くことが出来る。
何キロ離れた先も一瞬で移動することが出来る便利な道具だ。まぁ翡翠は高価なものだから、あくまで高位の貴族の間でしか使われることはない。
(そういえば、この世界には魔法があるんだ。)
前世の私の世界には魔法なんてなかった。だからすっかり忘れてしまっていたが、リベルサはあと何年か後に魔法学園に通うことになるはず。
ゲームの始まりも学園への入学場面からだった。その時には既に王子とは婚約関係で、いわばフラグがたっているわけなのか。・・・・確か、王子との婚約は12歳のときに取り決められたと王子は言っていたな。今の私はだいたい、10歳くらいに見えたなそういえば。
・・・そうか。・・・・・あと数年しかないとか。うん・・・・・。
こころ折れそう。
書いていて頭がこんがらがってきます。
書きたいことを詰めすぎて、読みにくいと思いますが、読んでくれて、感謝しかありません。