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さすがにキャパオーバーだって

進みが遅いです(´・ω・`)


「ようやくお目覚めになられて、安心いたしました。」


部屋に入って来たのはサラ、という侍女だった。

周りのレースカーテンが開かれて光が入ってくる。


「え、ええ・・・・」

「まだ、体調はお優れになられていませんね・・・・・」


額に触れられた手がヒヤリと冷たい。

サラは超絶美人で黄緑色の髪に黄色い瞳をしていた。

普通の人よりも明らかに長いであろう耳はとがっていて、いかにも別次元の人という感じだった。


「・・・・?どうかされました?」


じっと見すぎてしまったらしい。


「い、いえ・・・私は一体・・・・」

「熱でお倒れになられました、三日ほど」


どうりで体が重だるいわけだ・・・


「あの・・・鏡を取って頂けますか?目がゴロゴロして・・・」

「!では、少々お待ちください。」


ずっと気になっていた自分の顔がようやく見れる。


「こちらをどうぞ。」


白い髪に吊り目がちの赤茶色の瞳、顔は恐ろしいほど整っていていわゆる美少女だった。めっちゃ可愛い。

そしてこの顔には見覚えがあって、ありすぎてこれから起こるであろうことに卒倒しそうだった。


乙女ゲームの悪役令嬢リベルサ・ナイトレイ。

王子の婚約者候補で、王子に慕われるヒロインへの嫌がらせによりバッドエンドを迎えるキャラ。

公爵家の令嬢で、美人でニコリとも笑わないから近寄りがたいため常に一人だったと、ゲームの中で語られていた。


そのことを認識した瞬間に頭痛がひどくなった。

脳裏に流れこんでくる映像。サラや、優しい笑みを浮かべた聖女のような人。口元に笑みを携えた緑髪の美青年。


―――ママと、パパ、だよ。


幼い女の子の声が響く。

どうやらリベルサの記憶らしい。


・・・さすがにキャパオーバーだって。


ボスっと、布団に沈み込むとサラが白い顔をさらに青くして立ち上がった。


「お嬢様っ!」

「・・・大丈夫よ、少し眩暈がしちゃっただけ・・・・」

「・・では、もう少しお休みになってください。」

「ええ、そうするわ。」


サラは最後まで心配を張りつけたような顔をしていたけど、美人は美人のままで美しかった。

私がリベルサになる前、私が私であるときの最後の記憶は、嫌な鉄の味と、腹部の焼けるような痛みと、未練だけだった。

でも、新しい記憶が上書きするように過去の記憶が薄れていく。


「・・・・・通り魔に出会って殺されて、気づいたら異世界って」


「どこのライトノベルよ。」


静かな部屋に一人ごちって、また瞳を閉じる。

記憶はまだ流れていた。



拙い分を読んでくださりありがとうございます!

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