5話・聖女の力
今度は知らない男の人が来た。
「ルードと申します。よろしくお願いします」
そういって、ペコリと一度お辞儀したルードと名乗った黒いローブの人が二つの水晶玉を持ってきた。占い師が持っていそうな大きさの白と黒の水晶玉だ。
「ここに手をのせてください」
言われるまま、右手を白い水晶に左手を黒い水晶にのせた。ひんやり冷たかった。
ふわっ。
水晶玉が二つとも光りだした。
「何これ?」
光の中に文字が浮かんでいる。
「そんなハズは……」
なんだか、カトルとルードが難しい顔をしていた。
「聖なる力は100で問題ありませんが、魔なる力が10ですか……」
「何か問題あるんですか?」
「あぁ、カナは気にしなくていいよ。聖なる力が100なら、聖女に間違いない」
じゃあ、なんで難しい顔をしていたんだろう。隠し事をされるのは好きじゃないな。
「カナは少し休んでいてくれるかい? 王陛下に報告してくる」
「王陛下?」
「私の父上だ」
「王様がお父さん?」
「そうだよ」
「貴方は王子様なんですか?」
「そうだよ」
この国の王子様なら、いうことを聞かないとどうなるかわからない……。わけがわからないこんなところで路頭に迷うわけにはいかない。
「わかりました」
私は頷いておいた。