表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私が聖女っていったいどういうことですか?  作者: 花月夜れん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/49

40話・失いたくないもの(カトル視点)

「カナ、カナ!?」


 何度呼び掛けても、カナは反応しない。

 やっと君から愛していると聞けたのに。


「殿下、カナ様は魔法で操られているのでは――」

「違う、確かにさきほどまで動いていたじゃないか」

「しかし、このように寝間着で、その……」

「カナは私に急ぎ伝えたかっただけなんだ――」


 確かに驚いた。このような姿のまま、誰も止めなかったのかと。

 だが――。やっと、私の腕の中に来てくれたのだ。

 他の誰でもない。私を選んでくれたのだ……。だというのに、運命の悪戯なのか? 私がいったい何をしたというのだ?


「カトル様――」


 懐かしい声が私を呼んでいる。


「カトル様――」


 だけど、私は君を知らない。

 私の最愛の人は、今目の前にいる小さなこの少女だ。この国を救い、私とともに歩んでいく、運命の相手。


「殿下、カナ様をお部屋までお連れしましょう。様子がおかしいです」

「――わかっている」


 彼女を抱き抱え、部屋へと連れていく。部屋の前では付けていたはずの侍女が倒れていた。

 リードが、侍女を確認し一緒に来ていた兵が連れていく。


「この部屋では危険だ。私の部屋に」

「わかりました」


 私は踵を返して自室へとカナを連れていった。

 そっとソファーに座らせ、語りかけたが、反応はない。


「息もしている。瞬きも。なのに何故、話してくれない? 笑ってくれないんだ? カナ」

「殿下、侍女が参りました。着替え等は彼女達に任せて」

「あぁ……」


 私は立ち上がり、部屋を出る。すれ違った侍女達に、言ってしまった。


「カナに何かあれば、お前達覚悟をしろ」


 侍女達が、青い顔をして頷き部屋の中へと入っていく。

 私は、こんな風だったか? 彼女のことになると歯止めがきかない――。自分が自分でなくなっていく。

 私は、けれど私は――、二度と失いたくないのだ。


 二度と? いったい、誰を――?

 カナは今ここにいる。失ってなどいないというのに。

 違うな、彼女を失うわけにはいかないんだ。


 私は自問自答をしながら、侍女達がカナの仕度を終えるのを待った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ