少なくない?
大変申し訳ございません、こちらの作品は更新を停止させていただきます。話が序盤に考えていたものとぶれてしまい修正不能と判断しました。
一から練り直した作品を2020年1月7日の午前7時にあげますのでできればそちらをお願いいたします。
この作品を楽しみにしてくださっていた方々には本当に申し訳ございません。
何卒ご理解いただけますようお願いいたします。
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グランファスト国立高等学校。通称グラン高校。
おれは今その学校のある一室の前に居る。この部屋に標的である国王のマハトとおれの父さんのヴォルケムが居る。代表挨拶なんかやらせたことを問い詰めるために、教室に行かずにここまで追いかけて来たのだ。
隣にいるリミは仕方ないなぁと言った顔でついてきてくれている。教室に行っててもいいって言ったんだけど、目を離すと何するか分からないからと監視の意味も込められている。
とりあえず、コンコンとドアをノックすると、中から母さんの「はーい」という声が聞こえた。どうやら母さんもここに居るみたいで、返事をしたっぽいな。
そのまま扉を開け中に入る。
「さっきはよくもやってくれたな?」
部屋に入るなりとてもいい笑顔で言う。突然の訪問に父さんとマハトは飲んでいたであろうお茶を勢いよく噴き出していた。母さんはニコニコと笑顔を崩してはいないが微かに足が震えている。
「ゴホゴホ……な、なんでゼット君がここに居るんだい? 今ごろは教室に行ってるはずじゃ……」
「ほんとなら、そうなんだろうけどな。どこかの誰かさんたちのおかげで無駄に目立っちまったからな……きちんとお礼を言っとかないとと思ってなぁ?」
マハトの問いに対して笑みを深めながら答える。すると、マハトは顔を盛大に引きつらせる。そのままの表情で父さんを見ると、額から汗をだらだらと流しながら必死に平静を保とうとしている。
「あ、あのな? 俺もマハトも本気じゃなかったんだぞ? 少し冗談のつもりで最後にゼットに挨拶させたら面白そうだなって……そしたら母さんがもの凄い勢いで食いついてきてしまってだな……」
「なっ!? あなた! そこでなんで私の名前を出すんですか!? 夫なのだからこういう時こそ守ってくれるものでしょう!?」
「あんな顔したゼットに対抗できるわけないだろう! そもそも、お前がどうしても来たいといったから連れてきたというのに……お前がゼットのかっこいい所が見たいなどと言うからこんなことになるんだぞ!」
「あ、あなたが偶には一緒に行ってみないかと誘ったんでしょう!? かっこいい所を見てみたくないかと言ってきたから、見たいわって言ったまででしょう! あなたはいつも自分の立場が悪くなろうとすると、私を矢面に立たせて罪を擦り付けるんですから!」
父さんが母さんを売ってまで助かろうとしたせいで夫婦喧嘩を始めてしまった。おれたちなんか目に入ってないと言わんばかりに立ち上がって言い合っている。
その勢いにマハトもリミも、護衛の兵士さんたちもポカンとしてるし……全員置いてきぼりだ。
おれは父さんと母さんの所まで近寄ると、二人の肩に手を置く。二人は壊れた人形のようにゆっくりと首をこちらに向けてきた。
おれはそんな二人に迫力のある笑みで優しく言う。
「あのさ、夫婦げんかするなら家でやろうな? こんな人様の国の学校でみっともない真似しないでほしいんだけど?」
そう言って、肩に置いてある手に力を込める。すると、二人は顔を歪めながら訴えかけてくる。
「痛い痛い痛い! ゼットちゃん痛い! 母さんが悪かったからその手を放してぇぇぇぇ!!」
「すまん! 反省してるから手を放してくれ!」
「はぁぁ、次はないからな? 今度からはあんな変なことも、人様の国で恥をさらすようなことはすんなよ? おれとリミ、姉さんたちや兄さんにとって父さんも母さんも尊敬できる人なんだから。リミがあんな呆れた顔するようなことは二度としないでくれよ?」
そう言ってリミのほうに視線を向ける。二人……だけではなくマハトまでおれの視線を追ってリミのほうを向く。八つの目に見つめられているリミは苦笑いを浮かべていたが、自分に視線が向いてるのに気が付くと必死に笑顔を浮かべようとしている。
父さんも母さんも自分の娘に気を使わせてしまってか、申し訳なさそうな顔をしている。
「リミ、すまんな。気を使わせて……」
父さんが頭を下げて謝るが、リミは父さんに対して慌てたように首を横に振る。
「い、いえ! あの、こっちこそごめんなさい。お義父様もお義母様も仲がいいなぁって思いながら見てたので……なんか、ゼットさん……お兄ちゃんとお姉さまたちの喧嘩を見ているようで、つい……」
そう言いながらリミはえへへと笑う。その笑みに、おれだけでなく母さんまでもが自慢の胸を押さえながら悶えている。
「くぅぅぅ、この胸に刺さる感覚はなんなの? ゼットちゃんにしかならないと思ってたのに……この私がリミちゃんにまでキュン死にさせられそうにさるなんて!」
母さんが意味の分からないことを大きな声で喚いている。なんだよ、キュン死にって…… そんなもんを息子と娘に感じてるんじゃないよ……
「と、ところでゼット君? そろそろ教室に戻ったほうがいいんじゃないか? 担任の先生がきっと君たちが来るのを待っているだろうからね」
さっきまで空気だったマハトのおっさんが何やら慌てたように言ってくる。空気だったのがそんなに嫌だったか? まぁ自分の国なのに完璧に空気にされてたらな……ドンマイだ、マハト。
マハトに少し憐みの視線を送ると、大きな咳ばらいをして早く行きたまえト急かす。
「わかったわかった。空気にして悪かったよ? とりあえず教室に戻るよ」
「そんなこと気にしておらんわ!! いいから早く戻り給え!」
マハトが顔を真っ赤にして怒鳴りつけてくるが、へいへいと適当にあしらって部屋から出る。
「俺も母さんもまだマハトや理事長と話があるから、もう少しここに残るぞ。終わったら連絡を入れてくれ。久しぶりに城に来い。ソロモン君やイサム君も呼んで軽い食事会をしよう」
ドアノブに手をかけたとき、父さんがそう提案してきた。
久しぶりって……つい最近も帰ったじゃんか。まぁソロモンやイサムにも会えるのも楽しみだし、いいか。
「わかったよ。どうせ軽くホームルームみたいなのがあって、自己紹介するって感じだろうし……一、二時間後ってところかな? ま、終わり次第連絡するよ」
そう言ってリミを連れて部屋を出る。リミは部屋を出るときにペコっと頭を下げていた。そんなリミの頭を撫でながら、おれは喋るかける。
「よし、それじゃ教室に向かうとしますか」
「うん! どんな人が居るのかなぁ? 早くいこっ!」
待ちきれない、といった表情を浮かべるリミを落ち着かせながら廊下を歩く。マンモス校だけあって、校内がかなり広い。
父さんたちと話していた部屋から、十分近くかけて自分のクラスの教室にたどり着いた。ガラガラと教室のドアを開け入る。
「すんません、少し親と話してたので!」
軽く謝罪しながら入る。
後ろではリミがそんなおれを非難するような眼を向けてくるが気にしない。最近リミのおれに対する扱いが雑な気がするがきっと気のせいだ!
と、そんなことを考えながら教室に入り目にしたのは、マンモス校とはかけ離れているというべきのクラスメイトの数だった。
え…… おれとリミを合わせても三十人も居ないの?
読んでいただきありがとうございます.




