最後に
明らかに前とは魔力の質がちがう。魔力の量は魔法が扱えなかったこともあり鍛えてなかったから元々そこまでなかったが普通以上には増えてやがる。てか、魔法使えるようになってやがる!
「聞きたいことは山ほどあるが、それはなんだ?」
おれはピコピコと動く猫耳と尻尾を指さしながら聞く。ほんとなんなの?揺れ動くそれ(猫耳と尻尾)が気になって仕方ないんだが!?
「俺の前世はどうやら獣人だったらしくてな。詳しくはわからんがその名残だ。魔法に関しても随分と得意みたいでな。俺の才能でも風と土なら使えそうだ」
そう説明してくれた。イサムのときとは違いソロモンの方は魔力から感情はあまり入ってこなかったらしい。イサムとソロモンでも違いが出た。これがどういう理由なのかは分からないが実力だけではない何かが働いているのだけは分かった。実力でというなら二人は互角なのだから、二人が同じ結果にならなければおかしいのだ。
説明した本人は魔法が使えたのがよほど嬉しいのか今もずっとニヤニヤしている。
(これで二人の家のやつらの見る目が変わるはずだな)
良かったな、ソロモン。そう思っていると隣でバカがニヤニヤした顔をしている。こいつは、また余計なことを言うつもりか。
「にしてもさー。それ、似合ってるじゃん。ずっと付けてればいいんじゃない?」
猫耳と尻尾を指さしニヤニヤ顔で煽りにいくイサム。だがソロモンは余裕の表情をしたまま。
「いまは気分がいい。何とでも言え」
と言って軽くあしらっている。だろうな、念願かなって魔法を使えるようになったんだ。あんなに高揚した気分じゃどれだけ煽ったところで意味ないだろう。
「ちぇー、つまんないのー」
これは完全にイサムの負けだろうな。弄るタイミングが悪かったな。まあ、あれがイサムなりの表現方法なのだろう。イサムの方もソロモンのことをほんとに心配していたからな。この結果には満足だろう。
それにしても二人が異常なまでに化けたな。ひとりは家の特色でもある炎と再生を。もうひとりは魔法を使えるようになり鍛えていた体術を発揮できる獣人の体。いまの二人なら並大抵の大人や魔物にだって負けないだろう。
「いやはや。まさかここまでのモノが見れるとは。さすがは若たちですな。明らかに王国の近衛騎士よりも強力な力ですよ。少し鍛錬を積めばすぐにでもランクが〝英雄級〟にもなれるでしょう」
サンタロスが興奮したように言う。二度も同じように珍しいことが起きたからか普段のけ彼からは見られない顔をのぞかせている。
ランクとは神や魔王、一部の竜のみがランク付けされる〝神格級〟その者たちの幹部たちが連なる〝伝説級〟一部の人間族や亜人族や竜人族、魔人族などの災いを起こしかねない強大な力を持った者〝災禍級〟ある程度の偉業を成し遂げられる力を持つ者〝英雄級〟ごくごく普通の者たち〝一般級〟あらゆる才能を持たない〝最下層級〝と大まかに分けて六つの力の区分がある。
ランクは今のところ六段階に分けられている。一般級となにも才能を持たない最下層級は町に暮らして販売業や宿屋、学のあるものは教師や学者、中には国を支える機関に入っている者もいる。王国の騎士の大半は一般級が主だが騎士の中でも隊長格の者は英雄級がほとんどだ。災禍級は人間族ではとてつもない才能と努力がないと至れないと言われている。
伝説級や神格級においては別次元の話だ。この世界ですら伝説になっている神や魔王などの化け物しか格付けされていない。世界を救うとされる勇者ですら至れて災禍級がせいぜいだ。
「まあ、俺たちのリーダーはきっとこれ以上ですよ。こいつはいつも俺たちの予想をはるか斜め上を飛び越えていきますからね」
「だねー。あのゼットがぼくらよりも下なわけないだろからねー」
二人はサンタロスに向かってそう返した。そこには信頼以上の、こいつなら確実に自分たちの予想してないことを起こしてくれると期待しているのだ。
「……ハッハッハ!!」
サンタロスは一瞬ぽかんとした顔をし、爆笑した。そこまで笑うか!?
「いやー、申し訳ありませんな。自分でも人を見る目はあったつもりでしたがまだまだでしたね。反省しています。若たちは一切の疑いもなく、そして自分より上であることを誇らしく思っている。よいご友人に巡り合えましたね。それではシフォンベルクの若、魔法陣の中へ」
サンタロスがおれを見て言う。この人も二人に当てられたみたいだな。目がこれから起こることに対しての期待しかないと訴えかけてくる。
はぁ、なんでそうみんな期待を上げちゃうかなー。ハードル高いのとか面倒なんだけど。これで全然普通のだったときとか惨めすぎるよ。
でも……
ここまで期待されたなら何が何でも期待に応えないとな。
「ああ、自慢の友人たちだよ。だからこそおれは負けれないんだ。なんせおれはこいつらのリーダーだからね」
そう、一応はおれがこいつらのリーダーということになっている。だから、散々な結果にはするわけにはいかない。ちゃんとイメージは出来てる。仮説も大丈夫なはずだ。魔法陣の機動も、魔力の流れもある程度は把握した。
あとは、ビビらずに試すだけ!!
「よし! 集中」
魔法陣の中には入り中央まで進むとおれは「ふぅ」と息を吐く。まずは試しに魔力を一割ほど流す。そうすると少しだけ魔法陣が反応した。よし、とりあえずはこの程度の魔力でもしっかりと反応するみたいだな。それなら少しずつ流す量を増やすか。二割、三割、四割と少しずつ増やしていく。四割ほど流した、そのとき魔法陣がドクンッ!と鼓動のように震えた。
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