表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/115

第十二章 守るべきもの Ⅱ

 以後、龍介は皆と一緒に練習に取り組んで。

 入れ替え戦の日を迎えた。

 今この時期、最大の危機を迎えているが、そんな中でチームの一体感が強くなっていることを実感していた。


 試合の前日に、馬車の列がコロッセオに来た。コロッセオ入りしたシェラネマーレの選手やスタッフの面々で、夜はコロッセオの中に宿泊施設があるのでそこに泊まった。

 ファセーラの馬車の列もやってきて、一緒にコロッセオ入りしていた。


 第5コロッセオは郊外にあり、人も建物も少なく。少し西へゆけばただっぴろい草原で、一気に人気がなくなるような場所だった。

 そこにたくさんの馬車がやってきて、にわかに賑やかになる。


 設営のための人員や資材を運ぶ馬車だけではない。熱心なサッカー愛好家やサポーターたちが馬車を乗り合わせてコロッセオに詰め掛けたのである。

 コロッセオの宿泊施設は関係者しか使えない。最寄りの宿は馬車で30分ほどのところで、すでに満室になっていた。

 だがそれにもめげず、馬車の中で寝泊まりする馬車中泊をする者も多かった。


 そして、警備兵の多さ。

 なにせ大一番である。気が立っているサポーターも多く、一触即発の事態も考えられるので。シェラーンは金に糸目をつけずに警備兵を増強したのであった。

 多くの武装した兵士が鋭い目で練り歩く様はまるで戦場のようで、強い緊張感を禁じ得なかったが。安全のためには仕方なかった。

 そしてそれは功を奏して、前日に騒ぎは起こらなかった。

 

 試合は昼の12時半にキックオフだった。

 秋も深まり、気温は下がって。昼の試合開催でも問題ないと判断された。

 離れたところのために早めに試合をして、早めに試合を終わらせて、日が沈まぬうちに市街地へ帰れるようにとの配慮であった。


 シェラーンは選手たちの激励のために顔を出した。

 控え室で、すでにユニフォームに着替えて。あとはピッチに出るだけだった。

「みんな、健闘を祈っているわ」

 それからそれぞれの顔を見つめて、

「……最後まで戦い抜きなさい。私からは以上よ」

 微笑んでそう言うと、選手たちは、

「おうッ!」

 と威勢のいい返事をした。


 龍介ももちろんして。ピッチに出て、試合前練習を開始した。

 ファセーラの選手たちもピッチに出て試合前練習をする。ユニフォームはフィールドプレーヤーは橙色でキーパーは緑だった。


 コロッセオの観客席の観衆は、選手たちが出てきたのを見て、

「うおおおーーー!!!」

 と雄たけびを上げてコロッセオのくうを揺らした。

 コロッセオの観客席は全席自由だったのだが、今回は席割りをし、コアなサポーターはゴール裏に集められて。ライト層はそれ以外の席だった。


 前半はファセーラが南側でシェラネマーレが北側が自陣となる。そのファセーラのゴールの裏にファセーラ、シェラネマーレのゴールの裏にシェラネマーレのコアなサポーターが集められていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ