第九章 裏天王山 Ⅰ
※シェラネマーレの基本フォーメーション
ジェザ 龍介
ザンジャ トゥーシェン ギャロン リジル
ウォーラ ジョンス サニョン リョンジェ
ルーオン
※以下本編
龍介もジェザを追うように駆けて、少し離れて横に並んで顔を見合わせた。ジェザの向こうにザンジャがいて、追い抜いてゆく。
同じように龍介をリジルが追い抜いてゆく。
意表を突かれたのか、ギュスノーヴの選手たちは選手間の間を縫われるようにシェラネマーレの選手の前進を許してしまい。
ゴールキーパーは「詰めろ!」と叫ぶ。
ゴール前にギュスノーヴの選手が集まった。ゴール前に5人並んでいるのだ。それらが壁となって立ちはだかった。
ジェザは外側にいるザンジャにパスし、その間に龍介がペナルティエリア内のゴール前の5人の中に紛れ込み、リジルも続く。
他の選手はペナルティエリアを囲むように集まり、ゴールを守る。
シェラネマーレの他の選手もそれを取り囲むように前に進み出る。
(皆背が高い!)
ゴール前に来た龍介は、見上げるような背の高さの選手たちに囲まれる格好になった。
ボールが飛んできて、皆跳躍し頭で受けようとする。龍介も飛んだが、やはり背丈で不利なので届かない。
リジルは背が高く、他の選手と互角の高さまで上がったが。ボールを受けられなかった。
ボールは飛び出してきて跳躍し手を伸ばしたギュスノーヴのゴールキーパーが分捕った。
「戻れ!」
シェラネマーレの選手たちは一斉に自陣に戻ろうとするその頭上を、ゴールキーパーが蹴ったボールが飛び越してゆき。いつの間にか進み出たギュスノーヴのフォワードが受け、ドリブルで駆ける。
シェラネマーレの、ルーオンの守るゴールの前にリョンジェとサニョンのディフェンダーがすでに戻っている。
ギュスノーヴのゴールキーパーが飛び出した時点でボールを取ると予測し、急いで戻ったのだった。
「ままよ!」
ギュスノーヴのフォワード、テンザーは遠くからシュートを放った。それはきれいな弧を描いてリョンジェの頭を飛び越しながら落下したが、ゴールキーパーのルーオンは跳躍してそれを受け取った。
20人の選手たちは一斉にギュスノーヴのゴールからシェラネマーレのゴールへ、今度は逆にシェラネマーレのゴールからギュスノーヴのゴールへと突進するように移動し、それらはひとつの命を持った生命体に見えなくもなかった。
ルーオンの蹴り上げたボールもきれいな弧を描いて、それを前に進み出たリョンジェが受け取り。さらに右端を走り前に進み出るリジルにパスして、真ん中にいたギャロンにまたパスする。
20人の選手たちはひとつの生命体のようながら、やはりひとりひとりが生きた人間であった。それぞれがそれぞれの位置に着き、ボールを狙い、ゴールを守る。
ゴールキーパーはコーチング、フィールドプレイヤーの選手たちにどうするべきかの声高に指示を送り。
観客席の観衆たちは夢中になって観戦し、それぞれのサポーターは声を張り上げて声援を送る。




