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第五章 セカンドハーフ Ⅰ

 しかし先制されながらもせっかく同点に追いついたのも守り切れないようでは、ブーイングもやむを得ない。

 シェラーンは大王とともに観戦する特別室を出て、召使いさんを伴い控室に向かい。ヴァゼッラはその背中を得意げな顔して見送る。

 バジョカ大王は敢えて何も言わない。


 控室で選手たちが「ああ、くそ」と言いながら、レガインとドドパとともに前半の課題と後半セカンドハーフに向けての取り組みを話し合ったが。

「異世界の新人なんざ使えねーよ。こいつを外してくれ!」

 と、言う声があった。同時にシェラーンが来た。


「何を言うの!」

「こいつオレたちについていくのがやっとじゃねえか。足引っ張られたらかなわねえよ」

 そう言うのはリジルという欧米系の見た目のミッドフィルダーの選手だった。顎髭を生やし、クールさといかつさが同時にあるような雰囲気の男だが。実際は短気そうだ。


「何を言うんだ。得点したじゃないか」

 かばうのはジェザだった。リョンジェも頷く。

 だがリジルという選手は龍介を鋭く睨んで、「それからはさっぱりじゃねーか」と視線を外した。


「無理だ」

 レガインはそっけなく言う。

「特例により大魔導士の魔法により召喚した選手は、必ず使うという決まりがある」

「……」

 龍介は戸惑う。実際リジルの言うとおりだった。


 普通に考えたら、実績のない新人をいきなりスタメンで使うなんてありえないことだ。それがこの世界ではあるのだ。魔法で召喚した選手は絶対的なものがあると信じられているようだが、龍介は自分がそんなだいそれた選手だとは思えなかった。


 そういう話はシェラーンから話してもらった。それだけに、なぜ自分なのかという思いが胸中を駆け巡る。

 いつの間にかガルドネもいる。


「まあ、言わんとすることはわかる。が、つべこべ言わずに試合に臨め。いずれわかる」

「大魔導士様が言うならまあ仕方ねえが、役に立たねえならオレは絶対にこいつにパスを出さねえ」

 レガインとドドパは顔を見合わせて、やれやれと肩をすくめ合う。それから後半どう試合を展開するかを話した。


 シェラーンは何も言わない、いや、何も言えなかった。何か一言激励を、と思ったが。甘かったか。

 やがて時間が来て、選手たちはピッチに出る。シェラーンは召使いに促されて特別室に戻る。

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