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第一章 異世界に呼ばれて Ⅱ

 決められた赤のユニフォームのライバルチームは土壇場で敗れた悔しさとショックから、がっくりと崩れ落ち悔しさを噛みしめる。

 0-0のまま試合は進み、このままだと引き分けかと思われたが、龍介たちの必死さが勝った。


 最後、整列して、審判の笛の音を合図に観客に一礼をして挨拶し。相手選手や審判と握手すると、相手のチームのベンチまで行き。

「ありがとうございました」

 と、皆で礼をする。


 それから、ベンチまで行き、

「皆さんの応援のおかげで今日の試合勝てました、ありがとうございまーす! 次も勝てるように、頑張りますッ!」

「おう、次も頼むぜ!」

「オレたちをJリーグにつれてってくれよ!」

 と、サポーターと勝利の喜びを分かち合い、ハイタッチをかわす。


 この地域リーグで優勝すれば、全国リーグのJFLへの昇格を懸けた全国地域チャンピオンズリーグへの参加権が得られる。

 JFLの上は、Jリーグだ。


 サッカーはアマチュアの下部カテゴリーからプロのJリーグへの昇格がある。もっとも、上から下への降格もあるが……。

 ともあれ、Jリーグへの道は茨の道だが、龍介たちは夢のために必死に試合をこなしていた。


 源田龍介。東京都出身。

 今年高校を卒業し、初夏に19歳になったばかり。


 Jリーガーを目指し幼いころからサッカーに励んでいた。名門高校に入学し練習に試合に励んだが、夢叶わず……。

 しかしあきらめきれず、Jリーグ昇格を目指す地域リーグクラブのトライアウト(入団試験)を受けてこれに合格。


 東京から地方に引っ越し、チームのメンバーとして、同じ夢を抱く仲間たちと切磋琢磨していた。

 ちなみにプロのJリーグを目指すとはいえ現在のクラブは実質地域のアマチュアクラブ。よって、選手たちは午前に練習をした後、午後から仕事にも励んでいた。


 龍介はスポーツ用品店の仕事を紹介されて、そこで仕事に励んでいた。

 幸いこのスポーツ用品店の店員さんたちは皆いい人たちで、龍介はその人たちのためにも頑張ろうと、仕事にも精を出していた。


 クラブチームのオーナーや監督をはじめとするスタッフたちも厳しくもいい人たちだった。この人たちとならと、龍介は夢を抱け続けられていた。

 その監督は言う。

「サッカーしか知らない人間になるな」


 それに伴い、読書をして読解力をつけなさいとよく言う。

 監督の言う通りで、監督やコーチの指導や指示をよく理解しゲームに生かす人はよく読書し学んでいたし、チームワークもよくなるようにつとめていた。


 そんなチームメイトをお手本に、図書館に通って読書にも励んだ。最初は何を読んでいいのかわからなかったが、「奇をてらわずに素直なものを」と哲学書などを中心に監督が教えてくれるおかげで今は本選びに迷うことはなかった。

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