第四章 キックオフ! Ⅰ
両選手は円陣を組み。
「やるぞ!」
と声を合わせる。龍介も同じように声を出して合わせて。解散し、それぞれの配置に着く。
ボールはセンターに置かれている。真ん中を横切る線が引かれて、サークルも真ん中になるように引かれて。その中心にボールが置かれていた。
キャプテンマークを腕に巻いたジェザと相手選手のキャプテンが向き合い、審判がコイントスをした。
裏が出た。先にボールを蹴るのは裏をチョイスしていた相手選手だ。
「では試合を始める!」
試合開始のホイッスルが吹かれた。
相手選手はボールをまず一つ後ろの味方にパスし、一番前の左側のそこにジェザが向かい。一番前右側の龍介も一緒にボールを奪いに行くが、
「お前は先に行け!」
とジェザが叫ぶや、うまく相手からボールを奪い取り蹴り上げた。
その間にも龍介は相手をかわしながら駆け前進し、やってくるボールを受けた。そうする間にジェザとミッドフィルダーの選手が前に進む。
相手選手が前進を阻む、ジェザと目が合いパスを出せば。
相手選手の足が伸びて奪い取ろうとするが、それより早くジェザの足がボールを捕らえて、ドリブルで駆けだす。龍介はジェザをリードするように駆ける。
他の選手たちも勢いよく前進する。
「うおーいけー!」
という観客たちの声援が響く。
「くそッ!」
ジェザが呻き、ボールを巧みに奪われてそれを奪い返そうと相手選手を追った。
ミッドフィルダー、真ん中の4人の、右から二人目の位置につくギャロンという褐色の肌の筋骨たくましい選手がドリブルする相手の前に立ちはだかるがそれがかわされ。
リョンジェもボールを奪おうとスライディングをし、見事これを奪取。
ギャロンにパスし、そこから前に進み出るジェザにロングパスするためボールを蹴り上げた。
ジェザはピッチ左側から斜め前、中央にゆくように駆け。相手選手をうまくかわしシュートを打ち放った!
相手のゴールキーパーは腕を突き出し拳を握りしめ、パンチングで弾こうとしたが。咄嗟に手を開いて両掌で掴んだ。
「ちぇ」
ジェザは舌打ちし、後ろに下がり。龍介も続いて後ろに下がる。
ボールはキーパーによって打ち上げられるように蹴り上げられて、前に進み出たミッドフィルダーにパスされた。
シェラネマーレはパスサッカーが基本だが、場合によってはロングパスも用いる。それがうまく機能したと思ったが、カウンターの機会を与えてしまった。
ギャロンたちミッドフィルダーの選手はボールを持つ相手選手に迫り、足を突き出したが。自分のつま先の上を飛び越されて。まだディフェンダーの選手がいるのに、思い切ってシュートを打ち放った。




