表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/115

第二章 クラブチーム・シェラネマーレ Ⅵ

「……!」

 リョンジェも加わり、他の選手とともに練習メニューをこなすのだが。まずスピードに驚かされた。走れば龍介より速い。それでいて、足を見れば丁寧な動きもしている。速さ技術があるということだ。


 それから、一対一でのボールの取り合いをしてみたが。相手は巧みな足さばきでボールを操り、龍介に触らせない。

 それでもどうにかボールを取ろうとしたが、肩と肩が当たり、龍介はもろくも吹っ飛ばされて、転倒した。


 急いで起き上がったが、相手は得意そうに不敵な笑みを浮かべてボールを龍介に渡した。

「オレからボールを守ってみろ」

 言われて一対一で向き合い、ドリブルをし相手からボールを守ろうとしたが。足が伸びたと思わせるほどに伸びてきて、あっさりとつま先で掻き出されるように取られた。


「……!」

(なんだこれは!)

 レベルが高い!

 異世界が龍介の世界からスポーツを取り入れていると聞いて、漠然とレベルはそんなに高くないみたいに考えていたが。とんでもない、レベルは高い。


 学生時代に今の地域リーグと試合をこなしてきたが、軽くそれを凌駕するレベルだ。

「地域リーグでもトップクラスはJ2J3と遜色ないレベル、たまに規格外でJ1と同等がある」

 と言われて、龍介も自分はJ1まで行かずともJ2J3レベルだと思っていた。それが、このざまである。


「ぼっとするな。ボールを追え!」

 相手から言われて、龍介はハッとする。相手の名前は、ジェザといったか。身長はリョンジェと同じように190センチくらいありそうな長身で、黒目に黒髪ながら彫が深く鼻が高いラテン系っぽい感じだ。そのジェザは龍介にハッパをかけて自分を追うように言う。


「おいおい、今夜試合なのに」

 ドドパが心配そうに言うが、レガインは無言で成り行きを見守っている。ガルドネも同じようにしている。


「くそ」

 龍介は意気込んでジェザ目掛けて駆けた。

 ジェザも逃げずにドリブルしながら龍介向かって駆けたが、ボールは足に吸い付いているかのように離れず。上手く曲線を描くように、ひらりひらりと龍介はかわされ、つま先でボールに触れることすら叶わない。


「だれあの子?」

 観客席ににわかに現れた者たちがいた。

 年配の女性と若者。母親そとの子どものようだが、ともに褐色の肌をしアフリカ系っぽい人だった。


 その子どもっぽい方は年ごろ、十代後半のようで。長い髪の毛を後頭部でまとめたポニーテール。目鼻立ちもくっきりしている。

 パンツルックスで、一見男の子かと思ったが。年配の女性の方が、

「お嬢様」

 と呼んだ。女の子だ。


 男物の服を着ており、一見男の子っぽかったが。女の子なのだ。

 男装の麗人として、凛々しさを感じさせる。そんな女の子は、龍介を見て不思議そうな目を向ける。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ