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第二章 クラブチーム・シェラネマーレ Ⅲ

 選手たちは身長はもちろん髪の色に目の色、肌の色も様々で。さながらヨーロッパのクラブチームのようだった。

「オレが一番背が低い……」

 低くても180センチはありそうな選手たちの中に、170センチと平均的日本人身長の龍介が紛れ込むわけだ。サッカーのできる環境があるのは見て分かったが、そこにいる人を見て、緊張に揺さぶられるようだった。


「あー、君が新入りかー。オレ、リョンジェっていうんだ。よろしくな!」

 ひとり、背の高い男が愛想よく龍介に話しかけてきて。握手のための手を差し出す。髪の色と目の色は龍介と同じ黒でアジア系っぽい。

「あ、よろしくお願いします」

 おどおどしながらも、差し出された手を握り握手をしながら一礼をする。


 ヨーロッパのクラブチーム然とした、屈強そうな欧米やアフリカ系を思わせる選手たちを見て、物怖じを禁じ得なかったが。

 リョンジェという選手が気さくに声をかけてくれたことで、幾分か気がほぐれたのは助かった。そこにガルドネが割って入る。少し年配の男性2人も一緒だ。


「紹介しよう、監督のレガインと、コーチのドドパだ」

「君のことは聞いている。よろしく」

 ふたりから手を差し出されて、それぞれ握手する。栗色の髪に目のレガインはスリムな体形でスマートさを感じさせる紳士で、黒目黒髪のドドパは恰幅がよい見た目で目つきは鋭く光っていて、色んな意味で熱そうな性格をしてそうだった。


(監督、コーチ。そういう言葉まで取り入れているのか)

 いちいち尋ねることが面倒になったが、やはり驚きは禁じ得なかった。

 そこでクラブチームに関しての説明を、簡潔だが受けた。


 名はシェラネマーレという、と言う。

 マーレ王国のみならず、国外から選手が集まっていること。だが異世界から来たのは龍介ひとりだということ。これはリーグ全体で見ても、龍介だけだという。

「必要以上の混乱を避けるため、若干名しか召喚せぬ」

 とガルドネが付け加えた。


 言われてみれば、異世界、異なる世界だ。やたらめったら人を召喚し行き来したら混乱は必至そうだ。

 っていうか、クラブチームやリーグなんて言葉まで取り入れられているのかと。


「やめ!」

 話が終わり、誰か他のスタッフピッチ内練習をしている選手たちに声をかけ、練習を止めた。

「……」

 やはり緊張を覚える。試合とは違う緊張だった。


 皆選手というよりも、このファンタジー世界でモンスターと戦う戦士という感じで、背景に「ゴゴゴゴゴゴゴ……」という字が入りそうなというか、「魁!男児塾」のキャラのような鋭い目つきをしていた。


 これは明らからにスポーツ選手でなく、戦士である。

 選手たちは龍介たちのもとに来て、監督のレガインが皆に龍介を紹介し、ひとりひとり名乗りながら、とりあえず握手をしてくれた。

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