第二章 クラブチーム・シェラネマーレ Ⅰ
城に着いてから疲れがどっと出た。
部屋に案内されれば、そこは某ネズミランドのような城の中とは思えないような、ビジネスホテルと同じような部屋だった。
「過ごしやすいように、君の世界のと同じ部屋を作っておいた」
「あ、ありがとうございます」
これも魔法の力か。と、呆気にとられながら礼を言い、部屋に入ればガルドネは「では、また明日」と去り。龍介は着の身着のままベッドに倒れこんで、そのまま寝入ってしまった。
翌朝、 夢すら見ないほどにぐっすりと寝入ってしまって。
「午前6時~。午前6時~」
時間を知らせる時報係の者が城の中で時間を知らせて回る声で目が覚めた。
「6時?」
ふと、壁に昔っぽいネジやバネ式の時計がかけられているのが目に入った。この世界には時計もあるのだ。
「便利と言えば便利だけど」
この世界に来て3日目。ベッドでぐっすり眠ったことで気持ちも落ち着いて、この異世界に徐々にでも対応できるようになった、ような気がする。
「シャワーあるのか?」
起き上がって部屋を見回せば部屋の中にドアがあり、それを開ければ、ほんとにビジネスホテル然としたトイレと一緒のユニットバスがあった。シャワーノズルもかけられている。
「これも魔法の力か……」
慣れたのか、驚きもだんだん小さくなっていっていた。
かまわずシャワーを浴びた。
「あー、生き返るな~」
さっぱりした。
タオルもある。歯磨きグッズに髭剃りもある。ふとユニットバスから顔を出せば、ベッドの脇に箪笥があり、それを開ければ、龍介の世界と同じ服、Tシャツにジーパンが入れられているではないか。
なかなか至れり尽くせりではないか。
身繕いをすると、ぐう、と腹が鳴った。
タイミングよくドアがノックされた。
「ガルドネだが。起きているかね。朝食だ」
「あ、はい!」
ドアを開ければガルドネがおり、それに連れられて朝食をとりにゆく。しばらく歩けば広い食堂があり、食事はそこでとるという。
バイキング形式だった。ますますこの城がビジネスホテルっぽく感じられる。
ともあれ、腹が減っては贅沢も言えないし突っ込みを入れても仕方ないと、ガルドネと一緒に盆を手にしてパンや卵焼き、ソーセージに牛乳などを皿にのせて。テーブルに着いた。
城仕えの騎士や貴族に召使いにメイドたちも、この食堂で一緒に朝食をとっており、談笑も聞こえる。