エピローグ Ⅱ
翌年の春、JFL挑戦1年目の開幕戦。
開幕戦はホームゲーム。
ここからさらなる飛躍の劇の幕が切って落とされる。
そのホームゲームでイベントがあるという。
ハーフタイムにある歌手のコンサートがあるという。
しかし、なぜかシークレットで選手たちも歌手が誰なのか教えてもらえない。
「変なの」
と龍介も首をかしげたが、大事なのは試合なのであまり気にしないことにした。
そして、試合当日。
選手たちが横一列に並んで、試合に臨もうというとき。試合前のキックインセレモニーのために、シークレットの歌手が姿を現した。
「……あッ!」
龍介は歌手を見てびっくり仰天!
「しぇ、シェラーン!」
歌手は褐色の肌の健康そうな美少女。レプリカユニフォームに短いジーパン、素足にスニーカーという格好で、モデルのようにすらりと伸びる足を惜しげもなく披露する。
それは、シェラーンだった!
あの、誇り高き貴族の娘で、剣の達人の、男装の麗人が、である。ガルドネの魔法によってこの世界に来たのか。しかしこの世界への適応ぶりはどうだろうか。
ちょっとパニック気味になってしまう。
シェラーンはそんな龍介と目を合わせて、
「うふふ」
と、いたずらっぽくウィンクをして。
龍介は顔を真っ赤にして、照れくさくて仕方なく思わず目をそらしてしまった。