表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
111/115

第十四章 そして運命は決した……! XIII

 ダライオスも疲労困憊で動きが鈍っているのは否めないが、それでも最後まで戦い切ろうと駆け抜けようとする。

「いかんッ!」

 ゴールはゴールキーパー不在でがら空きだ。


 フォザンは急いで戻ろうとするが。龍介はセンターラインを越えたところで、左足で思いっきりボールを蹴り上げた。

 ボールは高く飛んで、無人のゴールに迫り。手前で落ちて、そこから跳ね返って、右のバーに当たって、あさっての方向へ跳ね返って落ちて、ころころと転がってゆく。

 それをフォザンやダライオスたちは必死の思いで取りにゆくが。


 ぴー、ぴーー、ぴーーー。


 という長い笛の音がして、

「やめッ!」

 と、審判は試合の終了を告げた。


「わあああああーーーーーー!!!」

 という、歓喜と失意の双方の気持ちがこもった絶叫がコロッセオを包み込んで揺らした。


 終わった、終わったのだ。

 入れ替え戦は終わった。

 1対0、シェラネマーレは勝利し残留を決めたのだ。


 ファセーラの選手たちはがっくりと膝を折って崩れ落ち。

 コバクスとニッケはもちろん、あの怜悧なダライオスですら人目もはばからずに泣いていた。

 その肩にシェラネマーレの選手たちは優しく触れる。

 言葉はなかった。今の彼らには言葉は意味がなかった。

 この激闘の末に、運命が決したということだけがあった。


 ドラグンとアルカドは、レガインとドドパと握手をかわす。

「まだまだ力不足でした」

「いやいや。薄氷を踏む思いだったよ」

 互いに健闘を讃え合って笑みをかわした。


「やったあーやったよおー!」

「勝ったんだ、残留したんだ!」

「よかった、よかった!」

 テンシャンとローセス、シェラーンは抱き合って勝利の喜びを爆発させていた。

 大旗は上下して揺らめき。サポーターたちはもろ手を挙げて、歓喜した。


 それに対するファセーラ側は、

「負けたの……」

「あと一歩、あと一歩のところで……」

 と、試合終了の笛の音と同時に選手たちが崩れ落ちるのとともに、立っていた者はベンチに崩れ落ち、天を仰ぐ者、手で顔を覆い涙する者と様々に敗北の失意に襲われるのを禁じ得なかった。


「ゆくか」

 バジョカ大王は試合が終了すると頷き、魂が消えかけるのをどうにか堪えるミシェロとともに貴賓室を出た。

 試合後のセレモニーで選手たちの健闘を讃えるのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ