第十四章 そして運命は決した……! Ⅱ
ファセーラ側と言えば、
「よい試合展開だな」
「お褒めにあずかり、光栄です」
と、バジョカ大王に評価されてミシェロはうやうやしく一礼した。
試合前はあらぬ騒ぎがあり、冷やりとすることもあったが。始まってみればファセーラ優勢のようで、望みはあった。
(頼むぞ、みんな)
心の中でそう、強く勝利を祈っていた。
サポーターたちも、昇格への望みを強く持ち、後半をまだかまだかと待ち焦がれていた。
「昇格したらどうなるんだろう」
「夢にまで見た強豪との対決が見られるんだ」
「強豪に勝って、マーレで一番のクラブになるんだ」
などなど、あちらこちらで夢が語り合われて。夢を語る者の瞳は、強く輝いていた。
控え室において、身体を休め栄養分を補給し汗をぬぐい、新しいユニフォームに着替えて、双方後半に向けての試合の運び方を話し合っていた。
「勝つぞ!」
ファセーラは、ドラグンとアルカドの龍かあるいは獅子のような叫びに、選手たちも、
「おうッ!」
と、我らは龍かあるいは獅子の子であるとばかりに、威勢のいい雄叫びで返すのであった。
一方のシェラネマーレと言えば、
「え、そういう風にするんですか!」
龍介は驚いたようにレガインに聞き返した。
「そうだ。これはオレの絶対命令と思え」
「……。わかりました」
意を決して返事をしたが、戸惑い気味の龍介だった。
「まあ、後ろはオレたちに任せて、お前はお前の仕事をしろ」
ルーオンがそう言う。
前半であぶり出た課題を確認しあって、後半いかに戦うかを打ち合わせて。
レガインは時計を見て、
「ゆくぞ!」
と、戦場に先駆けするように控え室を出て、後に続く選手たちを先導する。
大魔導士ガルドネは、その様を静かに見守っていた。
ピッチに出て、前半と反対側に集まって。円陣を組む。
ファセーラは「勝つぞ!」と雄たけびを上げて、皆駆けて威勢よく円陣を解いてそれぞれのポジションについた。
シェラネマーレの面々も、
「残留するぞ!」
と気合の雄たけびを上げて、駆けて威勢よく円陣を解きそれぞれのポジションについた。