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闇夜の扉
赤い月明かりが澱み
上澄みはどこまでも透き通る闇だ。
君は胸に光を灯すことを嫌い
膝を抱えて冷たさに酔いしれる。
誰かが掻き回してしまわないように
扉も時も閉じ込めて。
そうしてできた空間は君の安らかなる居場所だ。
ナイフの刃先で頬を撫でたような明確な存在と
いつまでも続く悲鳴のような耳鳴り。
これ以上ない上等な底も悪くない。
ただそこには一つだけ欠点があった。
一度そこに踏み入ると出口が見えなくなってしまう。
それでもいい、それがいいと君は言うけれど。