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星の子  作者: 暇人
9/12

前夜祭

今更ながら感想の設定を制限なしにさせて頂きました。

設定とかあまりいじってなかったです。素人ですみません……。

よろしければ感想ください。

 作戦はこうだ――まず僕がリンクを使って植物たちを操作し魔物の足止め兼攻撃を担当する。勿論辺り一帯の植物たちには了承を得ている。さらに魔術、アーススパイクを中心に使用し僕自身も援護に加わる。

 そしてヒエン率いる猿軍団は投石での後方支援と攪乱を担当する。

 ガウさんとギンさんは隙を見て魔物へ近接戦闘を仕掛ける。


 あまり大した作戦じゃないけど、実際まだ強い力を持っているということ以外その魔物がどんな姿形をしていてどんな能力を持っているかなど不明な点が多いので細かいことは決められなかった。

 先程の作戦を基本にして臨機応変に戦うということだ。


 後は決戦の時を待つのみだ……。



 僕らは英気を養うために決戦前祝いとして催しを開くことにした。情報は瞬く間に森中へと広がり、共に戦うことが出来なくて悔やむ者や僕らを応援してくれる者、単純に賑やかなのが好きな者など多くの生き物たちが集まった。

 会場は夜だが松明や焚火などを作って明かりは確保してある。

 月明かりに照らされて――前夜祭が始まる。


 「盛り上がってるねぇ。僕には皆の言葉が理解できないけど」

 「皆もそうであろう。それぞれ種が違えば言葉など分からぬ。しかし、今日限りは皆平等にただ楽しむことだけを目的にしておる。それだけで何となく通じ合える。儂やギンなどの言葉を理解するものを通じれば会話出来んこともないしの」

 「なるほどね。ま、分からないこともないかな」


 「おいヒエン、俺と勝負しろ。皆も飽きてきた頃だろうし見世物の一つでも披露しねーといかんだろ」


 ヒエンと話しているとギンさんが何やら物騒なことを言いながらこっちへ来た。月明かりを受けて白銀の毛が神秘的な輝きを見せている。


 「すまんなギンよ。儂は今お主と戦えるほどの力を持ち合わせておらん」

 「ふんっ、腑抜けやがって。仕方ない……小僧っ!!」

 「えっ、もしかして僕がギンさんと戦うの!?」

 「なんだ、俺では不満だってか。面白いこと言うじゃねーか」

 「いやいや誤解だよっ。決戦前に怪我でもしちゃったら大変だから止めようよ」

 「大した自信だな。この俺が小僧如きに怪我を負わされると思ってんのか?」

 「なんで、そっち方面に考えるのっ!! 僕が怪我しちゃうってことっ!!」

 「お前もか……ふんっ、度胸のない者同士せいぜい隅っこで仲良くしてんだなっ!!」


 怒って行っちゃった。あ、今度はガウさんに話しかけてる。

 ガウさんって意外と大人しいというか群れずに独りでいるタイプなんだよな。

 ん? お互い中央に移動していって周りは退いてスペースが出来てる……本当に戦うのっ!?

 はぁ、ガウさんもギンさんも子どもっぽいというか……。



 「すっげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえっ!!!!」


 これぞプロの戦いというか綺麗というか、とにかく魅せられる。

 見事に一進一退のどっちに傾くか予想できないスリル満点の状況が作り出されていてその場が一体となって白熱し、本当に何かのショーを見ている感覚になる。

 ガウさんは一発の重さと耐久力を、ギンさんは手数の多さと俊敏さをお互いに生かした全く違うスタイルなのに二つが重なることで一つの演技のようなハマり具合だ。

 僕のがむしゃらな汚い戦い方とは大違いだ。まさかこんなにも熱くなれるものだったなんて。恐るべし……。


 なんかヒエンが呆れたような視線を向けてきているような気がするが今はそんなことどーでもいい。


 勝負は後半も均衡を保っていたが最後の最後、僅差でギンさんの勝ちという結果に終わった。しかし何か特別な力を持っているわけでもないガウさんがここまで戦えるのは大したものだ。元々のスペックの高さゆえか、魔力に頼らず己の肉体だけで生き抜いてきた努力の賜物か、いずれにしても凄いの一言に尽きる。

 もちろんギンさんもそうだ。粗さの中に華麗さを内包した攻撃の数々と的確に相手の行動を読み取る姿は普段の粗暴な態度とは打って変わり惚れるぐらいに格好良い……ちょっと失礼な言い方だけど。


 ただどちらも一線は超えないようにしていたらしく大きな怪我はなかった。

 どこで力を抑えてたんだか全然分からなかったよ。パフォーマーの鑑だな。


 今は僕が治癒魔術『ヒール』で細かな傷やら疲労の回復を施している。このぐらいお安い御用さ。


 「そうか、俺たちの勝負を見て感動したか。なら今度は小僧が相手だな」

 「またの機会に是非っ!!」

 「グガァウ」

 「ほう、ガウも小僧と戦いてーか。なら魔物との決戦は絶対に負けられねーわな。もとより負けるつもりなんてこれっぽっちもねーけどよ」


 その後は猿軍団とバカ騒ぎして過ごした。いつの間にかすっかり溶け込んで人一番楽しんでしまった。


 そして祭りはそろそろお開きという段階に差し掛かったとき今日集まってくれた皆が僕の前に並びだして、代表と思われる一羽の鳥が『仮面』を渡してくれた。

 木を削って作られた顔のようなものを模した仮面だ。木の実や草花を使ったのか色や模様が描かれていたり羽で飾りが付けられていたりと中々に豪華な代物だ。皆で協力して作ってくれたらしい。

 森衛隊のリーダーは何故か僕になってるからな。森の想いを受け取るのも僕の役目だ。


 しかし……めちゃくちゃ嬉しいなこれっ!!

 決戦のときには身に着けさせてもらおう。お守りだ。



 さて、いよいよだぞ。僕も全身で強力な魔力を感じる。

 後戻りはなしだ。

 ”みんな”で勝つんだ。



 ――いざ、決戦の場へ!!



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