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星の子  作者: 暇人
8/12

森衛隊

 あの後、僕とヒエンの二人は今回ヒエンが迷惑を掛けた者たちに謝罪をしながら森をまわった。

 そして魔物の襲来に向けて一緒に戦ってくれる者も募った。


 その中で分かったことだがヒエンはこの森で有名で信頼も厚く、今回の事に関しても大方みんな理解を示してくれた。

 ただ、戦力増強作戦についての結果はあまり芳しくなかった。

 ヒエンが仲介者になってくれたおかげで、僕の産まれた日に僕のことを追い回したあの猛獣を含め少数が加勢してくれることになったが前回ヒエンが全盛期の力を使い果たしてやっと勝てたことを考えると少し心許ない。ヒエンも今はほとんど普通の猿と変わらない戦闘力しかないしな。


 僕自身の強化はまぁまぁだ。特訓は欠かしていない。

大地や植物などに繋がる、勝手に『リンク』と名付けたものは元々無意識に発動したぐらい僕との親和性は高く日々の鍛練で徐々に上達していき自分本体の意識を保ったまま意識を拡げられる範囲の拡大とリンク可能な数を増やすことに成功している。

 魔術全般に関してはと言うと、魔力は人並み以上に持っているのだが操作が中々難しく即戦力の強化には至らない感じだ。そもそも簡単に扱えるような代物ではないし一日二日で成長するものではないとヒエンに言われた。だが、自然を生かしたようなものは相性が良いらしくそれなりに役立てられるところまでは来た。

 土のトゲを飛ばす『アーススパイク』や土の剣を作る『アースソード』などは十分実用段階にまでなっている。


 あと関係ないが、軽く魔術を用いながら植物を使わせてもらい簡易的な服を作ってみた。すごく野生的だったのが多少はマシになったかな?



 そして今はお昼休憩中だ。


 「ヒエンってなんか暖かい気がするんだけど何でかな?」

 「それは儂の魔力が太陽の日と似たような性質をもっているからであろうな」

 「へぇ。魔力がどんな感じかっていうのは分かるものなんだ」

 「何となく、あくまで儂のイメージにすぎんがの」

 「僕の魔力は全く……僕だということしか分からないんだけど」

 「うむ。しかし魔術が使えておるのなら問題はないであろう。きちんと存在を掴めているはずだ」

 「そうなら良いけど……それで、今日はこの後どうするの?」

 「うむ。もう魔物の存在が目前まで迫って来ておる。そこで今日は共に戦うと誓ってくれた者たちを招集し、作戦をたてようと思う」


 その後特訓をしながら待っていると皆が集まってきた。


 まず僕を追い掛け回してくれたあの猛獣、熊の『ガウ』さん。黒い毛と大きく逞しい体躯の持ち主で右目を縦に走る三本の傷跡がその怖さを増長させている。ヒエンによると僕のことは殺そうと思ったのではなく森を荒らす存在だと判断して追い出そうとしていたと弁解しているみたいだ。ほ、ほんとかなぁ……。


 次にヒエンとも長い付き合いだという狼の『ギン』さん。ギンさんもヒエンと同じく魔力による進化を繰り返しているらしいが全盛期のヒエンには遠く及ばないらしい。綺麗な銀色の毛をしていて言葉も話せるけど……ちょっと口が悪い。


 そして最後は、ヒエンのもとに集まり勝手に弟子になっていた『猿軍団』の団員十匹。普通の猿よりも賢く、統率のとれた動きは見事なものだった。一匹一匹の戦闘能力はあまり高いとは言えないのだけど単純に数としてもプラスになり作戦の幅も広がるだろう。

 僕もヒエンの弟子だと思っているみたいで仲良くしてくれる。


 という感じだ……多いようで少ないような。

 やはり強力な魔物はそれだけ恐れられているんだな。戦闘に向いている者たちばかりでもないので仕方ない。

 この計十三匹+一人でどうにか森を守り抜く。


 僕たちは作戦を決めるついでに今回戦う全員まとめての部隊名を考えた。



 我らは――森衛隊



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