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星の子  作者: 暇人
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 「おりゃあっ!!」


 僕は迫りくる魔物を避けるため思いっきり横に跳んだ。


ヒュンッ


 すぐ傍で風が切り裂かれるような音……魔物を間一髪で躱すことが出来た。しかし安心していられない。魔物が突進の勢いを殺してこっちに来るまでの僅かな時間しかないんだ。


 僕は目を閉じ全神経を研ぎ澄ましながら大地と繋がる感覚を思い出す。

 少しずつ自分の中の何かが大地に向かっていき結ばれる。そのうち意識が拡がっていくのを感じ、そこで留まるように集中する。


 ……よし。自分の意識を見失わない範囲に留めることが出来た。次は拡がった意識に触れる命……草木と接触を試みる。近くにある大きな樹木に狙いを定め意識を結ぶ。


 「繋がったっ!!」


 樹木は僕との接続を快く受け入れてくれた……僕もその存在を身近に感じ、繋がることに違和感はなかった。自分の手足のように自然だ。


 「ギャァァァァァァアッ!!」


 耳を劈く声が響く。

 目を開くと既に魔物が目前まで迫っていた。金色の毛が全身を覆い、立派なたてがみを持つ大きな猿の姿をしている。顔は醜く歪み瞳には知性が感じられず破滅の色が見える。全身からは魔力が漏れているのか蜃気楼のような揺らめきが見える。迫力ありすぎだろ……。


 一か八か……繋がった樹木を魔物に向けて振り抜くようにしならせ、ぶつける。……くっ、やはり駄目か。 突然の襲撃に危険を感じ取ったのか魔物は背後に跳び攻撃は回避された。しかし牽制することはできた。この調子でもっと多くの植物たちと繋がることが出来ればあるいは。

 周囲の樹木とさらに意識を繋げていく。一つ、二つ、三つ。少しずつ自意識が曖昧になっていく。さらに二つ、これ以上は操りきれない。初めに繋がったのと合わせて六つ。


 再び魔物が襲い来る。樹木の幹や枝、根っこなどを総動員して猛襲を仕掛ける……が、足止め程度にしかならない。


 圧倒的に力の差がありすぎる。


 そして……徐々に樹木たちの命が擦り減っていくのを感じる。死に近づくのはこんなにも怖いんだ。みんな怖いはずなのに、生きたいはずなのに僕のために戦ってくれている。僕に全てを預けてくれている。

 絶対に生き残らないと。そして、みんなも守りたい。


 何かこの状況を打開する方法はないか、考えろ。今の自分に出来ること。

 自分の力、たくさんの命をもとに創られた体……魔力。そうだ、森羅万象に宿る力の源と言われる魔力。それは個体によって保有量や上限が違うらしいが僕の肉体にはたくさんの命が、魔力が宿っているはずだ。それをコントロール出来れば……”魔術”が使える。



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