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星の子  作者: 暇人
2/12

好奇心

 初めは真っ白で何も見えなかった。目がおかしいのかと思った。

 でも少しずつ輪郭が見えてきて色が付き始めた。

 この目に映るこれが……。


 「これが本物の世界……知識だけじゃない、風が肌を撫でる感覚も木々の揺らめくざわめきも太陽の眩しさも、全部全部実際に僕が見て聞いて感じているものなんだ!!」


 これが大地を踏みしめる感覚、これが自然の香り、これが生き物たちの声……すごい。ただ知識だけを与えられるのとでは全然違う。

 生きているってこんな気持ちなんだ。はぁ、開放感があるなぁ……って、僕裸じゃん!!

 産まれたばかりだし年齢的には赤ちゃん?だよな。だから服着てないのも当たり前だけど、情報によれば僕の肉体は一見12、3歳くらいと同じみたいだから外で裸だとたぶん駄目……ぎりぎりセーフかな? いやいや、万が一でも変態扱いなんてされたくないよ。あ、でも一度くらいは変態にもなってみたい気がするな。


 ……うん、やっぱり外の世界は楽しいな。こんなことで一喜一憂できるんだから。


 「とりあえず葉っぱで男性のシンボルと言われている部分を隠しておけば何とかなるかな」


 辺りを見渡してみる。


 「お、丁度良い大きさの発見。よし、これで安心だな」


 葉っぱを装備。


 しかし、ここは何処なんだろう? 森ってことは分かるんだけど……大きな樹木とか怪しい植物とか虫とかいるし。

 でも一面似たような景色だから下手に動いたら迷いそうだよなぁ。もう十分迷ってるけどさ。

 どうするべきか……水分と食料があれば生きられるとかそんな感じだったかな? いろいろ探索してみるか。



 僕は体力の続く限り手当たり次第に森を駆け巡った。

 食べられそうな果実や野草、きのこなどを採取したり猛獣に追い掛け回されて全力疾走したり多種多様な昆虫を観察したり、知識として持っているものも実際に触れたり体験するとどれもこれも新鮮で楽しかった。

 今は偶然見つけた川で魚の手掴みに挑戦中だ。

 それと、川の水に映っていたので確認してみたが僕は薄緑色の髪と瞳をしていた。


 「おぉっ!! やったあ、一匹ゲット!!」


 食料は十分確保できたし川も綺麗だから飲み水もオッケー。一安心だ。

 それにしても……


 「めっちゃ楽しぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいっ!!!!」


 体全体で生きてるって実感できる。素晴らしいな、自然って。



 その後川の近くに木と葉っぱや草、蔓などを使って小さな簡易住居を作った。不格好だし最低限の機能しかないけど初めてにしては上出来だ。

 案外無駄だと思っていた知識もいろんな所で役に立つ。


 そして今は焼いた魚と採った果実などで夕食タイムだ。


 「は、初めての食事……」


 初めては特別なものにしたいと思って夕食まで何も口に入れなかった。川に飛び込んだとき水を飲んだけどそれはノーカンというやつだ。自分が納得できれば良いのだ。


 「よし。い、いただきますっ!!」


 一口食べる。


 「うんめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえっ!!!!」


 これが味……人間が夢中になるのが理解出来た。



 それから感動の夕食を終えて今眠りにつこうとしているところだ。

 一日はしゃぎまくったし腹も膨れて睡魔が襲ってきた。瞼が重い……。


 おやすみぃ。



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