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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

定額プランに潜む落とし穴

作者: ひろ

※本作はフィクションです。実在の法律・人物・団体とは一切関係ありません。

 「定額プランに入っていたはずなのに、ある日いつの間にか従量制プランに変更になっていたんです。その月の支払い明細が届いたときには腰を抜かしましたよ。」

 そう語るのは王都在住のAさん(仮名)だ。


 彼は勇者。三十年ほど前に現れた魔王を倒すべく、冒険を続けている一人だ。

 彼は数ヶ月前、某宗教団体の提供する、月定額蘇生回数無制限サービス、通称『定額死にホーダイ』プランに加入した。


 「毎月定額なので、家計が計算出来ます。

 『あ、今月は死に過ぎたから、ビールを発泡酒に替えようかな。』

 『今月はあと何回死ねるかな?』

 といった事をいちいち考える煩わしさから解放されるので、このプランが発表されると、私はすぐ飛びつきました。」


 それ以来、彼は毎日朝・昼・晩と、魔王城に向かい殺されていたという。


 「毎日のルーティンですから、一度休むとモチベーションが下がるじゃないですか。週七で通ってましたね。」



 そんなAさんだが、先月毒を受け、その教会で解毒を受けたという。


 「知りませんでした。別のサービスを受けると『定額死にホーダイ』が一度キャンセルされるだなんて。」


 その日以降の蘇生がすべて従量制課金となっていた事に気がついたのは、つい数日前のこと。利用明細が届いた時だった。


 「最悪です。教会に問い合わせても『約款に書いてあります』の一点張り。この国の識字率なんて10%もないじゃないですか?

 きちんと読まなかった僕にも責任はありますけど、だまされた気分です。」


 結局、彼は莫大な借金を抱えることになった。


 「別の場所でモンスターを狩ったり、宝箱を漁ったりしていますけど、金利を払うだけでもカツカツでしょう。

 絶望しかないですよ。自殺も考えましたけれど、死ぬと蘇生されて、さらに借金が増えるのでやめました。」




 数多くの業者が参入し、戦国時代と化した現在の定額蘇生サービス。

 それに伴い、トラブルも増えている。



 「私の契約している教会は、実際は大手(キャリア)の神パワー回線を使用している格安業者なんですけど、とにかく昼と夕方の蘇生時間が遅くて…。」

 と語るのは地方在住の女性勇者Bさん。

 格安業者は大手の回線を借りているため、死にピーク時間帯の速度低下が課題だ。

 「一分1cmくらいのペースで足が生えてくるんです。お陰で、最近いつもお昼を食べ損ねちゃいます。」

 生えてこないので、昼休みにネイルも出来ない、と嘆く。



 トラブルは何も格安業者ばかりではない。

 最大手『マタンゴ教』は最近、『王の間』など、蘇生が集中する場所での『死に詰まり』が頻発している。


 「大手だから高額な分、安心感があると思っていたのに、がっかりです。これからはなるべく地方で死にますよ。」

 やりきれない表情でCさんは語る。なかなか生き返れず、帰宅が遅れたことで、奥様に浮気を疑われたと、力なく笑う。



 【マタンゴ教担当者】

 「ここ最近の勇者や冒険者の増加にですね、神パワーの供給が間に合っておらず、信者の皆様にはご迷惑をおかけしております。

 『死にやすい時間帯の前にあらかじめ死んでおく』、『死なないように頑張る』など、しばらくはピーク時間帯を避けたご利用に、ご協力いただきたいと思います。」


 マタンゴ教では、現在神アンテナの増設を急ピッチで進めているが、混雑解消は早くても来年秋になる見通しだ。




 なお、このようなトラブルの増加について、行政側の対応を電話取材してみた。


 「定額プランの普及に伴い、気軽に勇者になり観光気分で魔王城にやってくる者が激増しました。

 定額制の廃止や、最低料金の引き上げなどが急務だと考えておりますが、何分、人間政府が動かないことにはどうにもなりません。

 こちらとしましても執務に支障をきたしておりますので、この状態が続くのであれば、滅びの魔法で一度この世界をリセットしようかと考えております。」

 声: 魔王城主



 行政が大ナタ(物理)を振るう前に、自浄努力が求められているようだ。

前作との温度差よ…

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