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プロローグ
人が死ぬ。
登場人物が死ぬ。
それは避けられないことであり、必然的なことでもある。
避けられたと思うのは、それは傲慢であり、未来から振り返って感じた感傷に過ぎない。
人は死ぬ。
選択肢はそこにはないし──誰も、生死の天秤に触る資格は、ない。
誰を生かすか。
誰を殺すか。
誰を拾い。
誰を捨てるか。
それを決めるのは人間ではあるが、それを決めさせるのは状況だ。
未来を決めるのは人間の選択ではあるが、選択によって状況を決めることは出来ない。
この章では人が死ぬ。
つまり、いつものように自然に世界は回ったのだろう。