殺人鬼のエクスタシー
超ショートショートです!
初めて小説を作ったので下手ですがよろしくお願いします!
この世界は狂っている。夏にプールに入ったり、冬にラーメンを食べるとか、意味がわからない人間ばっかりだ。みんなにとっては当たり前のことかもしれないけれど、自分にとってはこれほど居心地の悪い世界に生まれたくなかった。太陽が出ている日は体がムシムシして逆に雨が降っている時は体が震え上がる。どんな病院に行っても医師は脳の障害だと言っていたが、原因がわからないからといって適当に誤魔化す医師の言っていることを信じれるはずがなかった。そんなのはただの言い訳だったんだがね。
最近、世界中で謎の死亡が増加している。ほとんどの人は正体不明のウィルスだかなんだかと言っていたが、僕は薄々気付いていた。いや、本当は気づきたくなかったんだ。謎の死の原因は、僕にしか分からないことだったのだから。異常気象だ。ここ一年、妙に寒く、気温が低くなっていることに疑問を持って記録をしたところ、一ヶ月に1度のペースで気温が低くなっていることに気づいた。このままいけば、全世界の人間が寒さによって亡くなってしまうだろう。だが、俺にできることは何もない。そのことに気づいてからは、上手く前を歩くことができなくなった。
そうして俺は、この世界で唯一原因を知っているのにも関わらず何もできない無力感などが積み重なり、次第に生きていることが耐えられなくなってしまった。
いつか来るとわかっていた。しかし、ついにその時が来てしまった
弟が死んだ。ただそれだけ。覚悟できていたはずだった。せめてみんなが生きている間は、嫌なことを忘れたくてこの一年間何もせず、ただ平穏に暮らしていた結果がこれだ。家族がいつしか死んでしまうだろうと現実を受け入れた覚悟の積み重ねが、じみじみと後悔へと変わってゆく。
でも、明日になって起きると何も感じなかった。心の奥底に深く眠っていた感情が、溢れ出てしまう
「生きていて良かった」
俺は嘘をついていた。生きるのが辛い訳じゃない。生きたくないと適当に言っていれば自分は苦しんでいるんだと言い逃れできた気がしたんだ。そうするしかなかった。いや、そうしないと耐えられなかった。
このままだといつか弟だけでなく自分も死んでしまうかもしれない。何か体を温める物が必要だ。だがしかし人が温度を感じない世界では当然、そんなものはなかった。
「死にたくない」
そのたった一言が、僕にとって最大の武器だった。
「あなた、今すぐそれをやめて!」
窓から外を見てみると、寒さによっていろんな物が凍っている荒れ果てた土地が広がっている
たった一つの生きる意味の夢が氷の中に閉じ込められたこの日
いつもだったら目にも留めない普通の風景が、今日は一段と輝いて見えた。
いつもだったら臭いだけだったガソリンの匂いが、今日はいい匂いだった。
いつもだったら大嫌いなこの世界が、なぜか今日だけ大好きだ。
そして僕は一つの小さな小さな炎の矢を街の中へ放つ
子供が泣き叫んでいる声が聞こえてくる。それを聞いた時、少し胸が痛くなった。でも、これでいいんだ。俺のおかげで、この世界は救われる。
世界で最も軽い涙が、地面へと落ちていった。
そして俺は深い深い眠りにつく…
「20時36分47秒、放火の疑いで現行犯逮捕」
気づいたら、俺は警察に起こされて逮捕されていた。深い眠りにつくつもりが、全然そんなことはなかったようだ。
ふと周りを見渡してみる
自分の家が燃えている。家族が全員死んだ。あの医者が言っていた通り俺は脳の障害を持っていたのかもしれない。
家族を殺したのは俺だった。