第58話 余談(SIDE竜)
*****SIDE 竜
別室で花婿となる竜帝テュフォンを囲んでいた竜達が、ぴくっと固まる。意識共有して情報をこっそり流していたエミリオも釣られた。
「いま……」
「あの子は確か、エミリオの婚約者だよね?」
「やだ、そんなに転生組がいるの?!」
「……強制力とやらは、きちんと無効化しただろうな」
意識や視界を共有する竜達は一斉に青ざめた。アグニ以外も事情は知っている。
ちなみに最初に目覚めた13匹の竜以降、他の竜は目覚めなかった。彼らの長い人生を考えれば、多少の寝過ごしは数十年単位でのズレに繋がる。三桁になるまでに起きればセーフと、意味不明のルールを適用したのんびり種族だった。
そんな彼ら竜でも、今のフランシスカから放たれた発言は衝撃を受けた。共有した視界を通じて、エミリオとマリエッラから送られた花嫁の映像は美しい。彼らは照れる花婿を揶揄っていたが、転生者らしき女性の発言にアグニが反応した。
……ブーケトスって、この世界になかったよな?
アグニの疑問に、竜は心の中で一斉に頷く。つまり異世界の知識を持つ女性の存在が確定した。
「ゲームに第二弾があるとか?」
「続編情報はなかったぞ」
少なくとも俺が死ぬまではなかった。断言するアグニだが、少しして肩を竦めた。
「考えてみりゃ、彼女は竜妃殿下の親友で義理の姉になるわけだから、こっち側の人間じゃん。焦る必要ないさ」
敵でなければ構わない。言われて他の竜も少しばかり考えてみたが、敵でなければ異世界の記憶もちだろうが問題ない。それどころか、味方にすれば心強い存在のような気がした。
「よし! ブーケトスでフランシスカ嬢が受け取るよう、風を操れ」
お祝いだし、花嫁も楽しみにしてる。そう提案した竜帝に、全員が了承の頷きを返した。




